現物資産のトークン化「4つのメリット」
現物資産のトークン化には、次のようなメリットがある。
<(1)価値の大きな現物資産の流動化>
絵画や彫刻などの芸術作品、またホテルやオフィスビルなどの大きな建物などの不動産のような対象には、高額なものが多い。これらは所有権の分割はできず、一括して売買しなければならないので、これを買える投資家は限られている。そのため流動性は低い。
所有権を分割してトークン化すると、投資対象となる最小単位の金額が相当に小さくなるので、投資しやすくなる。100億円の物件も、10万の所有権に分割できれば、10万円から投資が可能だ。これで高額な物件の流動化が促進される。これによって、高額物件の市場価値は一層高まることが期待できる。これは大きなメリットだ。
<(2)取引の迅速化と円滑化>
高額の投資物件を従来の方法で取引のするためには、多くの繁雑な手続きを経なければならない。弁護士の立ち会いのもとでの売買契約書の署名や、銀行を介した現金決済などである。
ところが、高額物件の所有権を分割し、これをトークン化すると、プログラムの自動実行機能を実装したイーサリアムのブロックチェーンの「スマートコントラクト」などを使える。すると、売買契約の実行は自動化できる。さらに発行されるトークンは、スマホやコンピュータにインストールされるウオレットを介して取引されるので、所有権の移転も取引手数料なしに一瞬で行うことができる。
<(3)所有権移転の追跡可能性>
発行されたトークンの取引履歴はすべてブロックチェーンに記録される。これをハッキングし、外部から改ざんすることは実質的に不可能に近いと見なされている。このため、高額物件の所有権移転の履歴がすべて追跡可能になる。紛失や偽造の恐れがある文書による管理の必要性はない。現物資産のトークン化は、もっとも安全な所有権の記録を提供する。
<(4)国境などのバリアーの排除>
不動産などの高額物件では、国境をまたいだ投資には、さまざまな手続きが必要になる場合が多い。大抵は原地のエージェントとの契約が必要になるので、手数料もばかにはならない。もし高額物件のトークン化が可能になれば、それこそ仮想通貨を買うような容易さで、こうした物件の取引ができてしまう。これは仲介手数料の必要性もないので、取引コストは非常に安い。