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コロナ下の新入社員に5つの特徴。ハラスメントリスクを避けて一流に育てる方法は?=午堂登紀雄

部下のやる気を引き出すのは上司の務め

「やる気のある部下がほしい」と思うのは誰でも同じですが、それは幻想だと思った方がよいでしょう。

いまの中高年世代の頃とは違い、いまは上司が部下のやる気を引き出してあげなければならない時代です。だから「もっとやる気を出せ」「やる気あるのか?」「なんでそんなにやる気がないんだ」などという嘆きはそもそも無意味で、「部下がやる気にならないのは上司の怠慢」というのがいまの認識です。

昨今の若手は、がんばるとか、成長とか、耐えるとか、努力とか、もはやそういう価値観・動機は過去のものになっていて、考え方はまったく違うんだという認識を持つ必要があります。

もちろん、全員がそうであるということではなく、当然ながら個人差はあるし、あくまで傾向としてです。その個人差も含めて上司が彼らを理解し、上司の方から部下に歩み寄ることが必要です。

そのように思考を転換できない上司は、「部下のことが理解できない」状態が続き、退職者を続出させてしまうことになりかねません。

それこそ3年で辞めるどころか、1年で辞めてしまいます。

ただしこれはやむを得ない側面もあって、40代後半以上の上司世代は気合と根性ベースで上司や先輩から教わってきただけで、それ以外の育てられ方を経験したことがない。

だから昨今のドライで効率的な価値観を持った若手部下たちの育て方がわからないし、彼らの価値観も理解できない。とはいえ、それでも彼らを育て戦力にしていかなければならないわけですから、彼らの価値観に寄り添っていく必要があります。

そこで、新入社員を含め20代前半の若手社員の傾向を、ちょっと極端に振ってご紹介します。

コロナ新卒の特徴は?

<特徴その1:言ったことしかやらない?>

たとえば「言ったことしかやらない」と嘆く上司は少なくありません。

しかしそれも当然で、学生時代は勉強の範囲や解法、果ては勉強の方法まで学校や塾などで教わってきたためです。

勉強の範囲は決まっていて、どこが試験に出るかも教えてくれる。あまり考えなくてもなんとかなったし、受験ではむしろ我流の方が危険でしょうから、自分で考えて動く習慣がないだけなのです。

今までずっと、自分から手を伸ばさなくても、大人のほうから手を差し伸べてきてくれていた。だから基本的には待ちの姿勢で、自分から何かを言い出すという経験が少ない。 

そのため、上司の背中を見て盗むとか、自分の方から積極的に教えを請いに行くという発想もなく、「教えてくれないなら、もういいや」と見限ってしまいます。

だから「わからないなら聞けばいいのに」という発想は捨て、こちらから歩み寄らなければなりません。

それに、「言ったことしかやらない」というのは言い方を変えれば、「少なくとも言ったことはやる」ということですからむしろ長所であると割り切り、丁寧に説明することです。

また、彼らは気の合う仲間としかつきあってこなかったため、たとえば起こりうる事象を想定して先手を打つとか、相手が言いたいことを想像して動くという姿勢が乏しい。そんな気配りをしなくてもやってこれたわけですから。

だから「そのぐらい言わなくてもわかるだろう」というのも通じません。「それくらい、いちいち言わなければならないのか!」とあきれたり憤っていてはストレスが溜まるだけです。

経験や習慣がないだけなので、面倒でも詳しく説明をすることです。

そうやって慣れきたときに、「この仕事はもう大丈夫だ。あとはもっと効率よくできないか自分なりに工夫してみたらいいよ」と段階的に任せていくことで、自分で考える習慣ができてきます。

<特徴その2:頑張れない、我慢できない?>

バブル世代はたとえば収入アップを、氷河期世代は雇用の安定を優先する傾向があったかもしれません。

しかし今の若い世代は、会社や仕事に対して冷めた見方をしています。プライベートを犠牲にして滅私奉公なんてとんでもないし、「つらかったら辞めればいい」「理不尽なことに耐えてまでその職場で頑張る必要はない」と思っています。

また、収入がそれほど上がらないことがわかっているし、欲しいものはたいてい持っているので、稼ぐことにそれほど貪欲ではありません。また、大変そうな上司を見ているので、昇格や昇進にもあまり興味はない。

そのため報酬や福利厚生といった待遇だけでは、今の彼らのモチベーションを維持することはできません。だから「頑張れ」などという叱咤激励も通じない。

一方で、根はまじめなので、納得感ややりがいを得れば一生懸命働きます。

「黙って言われたことをやれ」「目の前の仕事に集中していろ」「そのうちわかる」ではふてくされるだけなので、いちいち面倒くさくても、仕事ひとつひとうの意味や理由を伝え、腹に落ちるように説明しなければなりません。

そうやって仕事の意味、重要性を理解してもらう声掛けの努力が上司には必要なのです。

Next: 若い世代を理解するしかない。彼らの特徴と対応策は?

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