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金相場は再び上昇、2000ドル回復は目前か。今から買いたい投資家に有効な戦略は?=江守哲

暗号資産の不安定さが追い風に

さらに、最近のビットコインなど暗号資産(仮想通貨)を取り巻く環境の悪化は、少なからず金相場のサポート要因になりそうである。当局は暗号資産に対して動きを見せ始めている。新たな法案や規制などが講じられると、投資家はこれを嫌気して金に資金を移す可能性もあるだろう。

暗号資産と金の投資家層は違う可能性が高いが、資金の置き場に困った投資家が、新たな投資家として金市場に流入する可能性もゼロではないだろう。この点も念頭に置いておきたい。

いずれにしても、今後はインフレ時には優位性が高まる金への投資は確実に増えざるを得ないだろう。

FRBのパウエル議長は20日、暗号資産について、「利用者や金融システム全般に潜在的なリスクをもたらす可能性がある」としたうえで、中銀デジタル通貨に絡む利益やリスクに焦点を当て、デジタル決済に関する考え方の概要をまとめた参考資料を今夏に公表するとした。手続きの一環として意見公募も行う予定である。

また、「中銀のデジタル通貨が消費者や企業に資することを確認したい」とし、「暗号通貨は価値の変動が大きく、これまでのところ便利な決済手段としては機能していない」とした。また、技術革新に伴い「適切な規制と監視の枠組みにも注意を払う必要がある。これには銀行や投資会社、その他の金融仲介機関に適用される伝統的な規制の枠組みから外れた民間の新興企業も含まれる」とした。

ボストン地区連銀は現在、マサチューセッツ工科大学(MIT)と協力して中銀デジタル通貨に関する研究を行っており、第3四半期にもその成果を発表する予定である。また、米財務省は20日、バイデン政権の税制改革案には1万ドル以上の暗号資産を送金する場合の内国歳入庁(IRS)への報告義務が盛り込まれていると発表した。

これに先立ち、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は19日、ツイッターでビットコインの保有分を売却しないとのメッセージを発信。また、米投資会社アーク・インベストメント・マネジメントを率いるキャシー・ウッド氏は、依然としてビットコインが50万ドルになると見込んでいると表明した。

今後、米国から暗号資産に関する様々な動きが急速に出てくる可能性がある。これまで明確になっていなかった暗号資産の扱いが明確化されることで、今後の暗号資産の位置づけが決まることも十分に想定される。

その際の暗号資産の値動きと金市場に与える影響には注意が必要である。

ゴールド投資に有効な戦略

一方、長期的にはインフレがテーマになることは確実である。

したがって、金に対するスタンスはまったく変わらない。実質金利が低下している状況で金が本格的に買われていないのは、まだ投資家がそこまで頭が回っていないからであろう。今後の最重要テーマは長期的なインフレである。インフレヘッジの代表選手である金を売るという選択肢は私にはない。これからも徐々に積み増していくのがよいと考えている。

その意味では、金は手放してはならない最も重要な資産のひとつであるといえそうである。短期的には買われすぎ感もあり、高値をどんどん更新する動きにはなりづらいかもしれない。それでも高値圏を維持している。ビットコインからの資金流出で、投資資金が金に流入し始めている可能性もある。

いずれにしても、少し長めの上昇基調に入った可能性が高そうである。また、昨年8月の高値2,072.49ドルを試す素地ができつつあるように見える。金相場が短期的に上がりすぎる前に、早めに仕込んでおくこともよさそうだ。インフレ時における金投資は優位性があることは、過去データからも明確であり、重視しておきたい事実である。投資家はまだそこまで見通せていないからこそ、本格的に資金を金に振り向けていないだろう。

今後はインフレ懸念が高まり、金にはヘッジニーズが高まるだろう。株式市場から安全資産への逃避の動きも出てくるだろう。

Next: 緩和的な政策とインフレで、金はますます上がりやすくなる

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