映画『鬼滅の刃』が国内興行収入400億円を突破、海外を含めると約517億円に達しました。これだけの大きな成果を出せば、実際に絵を描いたアニメーターに還元されるでしょうか?実はアニメ制作だけでなく、日本における現場のクリエイターやプログラマーなどの待遇がグローバル基準と比べて著しく低いという状況が、近年顕著化しています。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。
※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2021年5月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
『鬼滅』興行収入517億円超え。現場のクリエイターに還元されたか?
『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』の国内興行収入が400億円を突破、海外(45の国と地域で上映)も含めると約517億円に達したとのことです。
興収が400億円を突破するのは、国内では初めてです。しかもコロナ禍での話ですので、本当にすごい数字だと思います。
一方、4月のPRESIDENT Onlineの記事で「中国のアニメーターの平均月収は杭州では3万4,062元(約52万円)。一方、日本では月収17万5,000円でも、業界平均よりずっと高い。中国と日本の関係が逆転しつつある」という記事が出ていました。
※参考:「日本人なら中国人の3分の1で済む」アニメ制作で進む”日中逆転”の深刻さ 日本が中国の下請けになっている – PRESIDENT Online(2021年4月6日配信)
日本のアニメ制作市場は2010年代になって急拡大しています。
2019年の数字は2,427億4,900万円となっていますが、これは2000年対比で3倍以上の数字になっています(その間に制作会社は増えており、制作会社1社当たりにおける平均売上高は、必ずしも右肩上がりではありませんが)。
実はアニメ制作だけでなく、日本における現場のクリエイターやプログラマーなどの待遇がグローバル基準と比べて著しく低いという状況が、近年顕著化しています。
これは日本企業の負のレガシーと言えるでしょう。
現場は低賃金、実務を知らぬ管理者は高給取り
日本企業では、実務にくわしくない管理者が高給取りで、実務に精通している現場の人間が低賃金で使われているという現象が多く見られます。
日本ではマネージャーやディレクターは管理者であり、実務については詳しくなくてもよく、実務者に報告のための不必要な作業強いらなければいけないというケースが多いように思います。
はっきり言って、こんなマネジメント体制は無駄だと思います。
実務を知らない人間が管理者としてマネジメントをする時代はすでに終わっています。
レベルの高いクリエイターやプログラマー、実務専門家を束ねるのは最も実務に精通しているリーダーでなければ統率できないという時代になっているかと思います。
そうでなければ高いレベルの実務家はついてきません。
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