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退職金「本当に自由に使える額」の計算方法は?旅行・趣味での浪費は後悔も=牧野寿和

住宅費の予算化を始めておくこと

例えば、借入金の返済が完了していない方は、その返済費用が必要です。

よく「退職金を使って住宅ローンの繰り上げ完済をしても良いか」と相談を受けることがあります。その回答は、ほとんどの方の場合、老後晩年の家計収支をシミュレーションすると生活費が乏しくなるので、「止めた方が良い」とお答えしています。

なぜなら、住宅ローンを完済する時に現金が減ります。老後の生活で急にまとまった現金が必要になった時、金融機関から借り入れることができても、住宅ローンの金利と違って高利だからです。

また、住宅ローンの返済末期の返済額の内訳は、一般的に利息分は返済し終えて、元本分の返済ですので、退職金を返済に使っても利息分の返済額が安くなる、といったメリットはほとんど期待できないからです。

マイホームにお住まいの方は、住宅を改修する費用、建て替える費用、住みかえる費用など終の棲家(ついのすみか)までを計画し、そのための費用を予算化しておくことが大切です。

また、生涯賃貸住宅に住む計画の方も、住宅費の予算化が必要です。

賃貸の経営者は、高齢者に部屋を貸すことを嫌がる傾向があります。従って、歳を取ってから賃貸の引っ越しがすでにわかっている場合などは、その時の対策を今から決めておくことが大切です。

初心者に退職金運用はハイリスク

また退職金を使って、株式や投資信託といった金融商品に運用をする方法を相談にみえる方がいます。

退職金を金融商品で運用するのは、現役中から金融商品で運用していた方が定年後も続けるというならよいのですが、初めて運用をしてみようという方にはお勧めいたしません。

なぜなら、運用の仕方を学ぶのに時間もお金もかかるからです。

どうしても運用を始めたいのであれば、その予算は上記で計算した「自由に使えるお金の範囲で」です。言い換えれば、なくなっても良いお金の範囲内ということです。

また、すでに運用の経験がある方も、新規商品の運用に使う資金は、退職金のうち自由に使えるお金の範囲内にした方が良いでしょう。

Next: 現金が貴重になる?退職金の使い道は限られている

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