東芝の2020年7月の株主総会に関する外部調査で、官民の蜜月ぶりが明らかになりました。報告書には当時官房長官だった菅義偉氏の発言まで詳細に記録されており、言い逃れができない状況です。(『今市的視点 IMAICHI POV』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市的視点 IMAICHI POV』2021年6月11日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
東芝「物言う株主」対策で経産省に泣きついた事実が発覚
東芝は6月10日、2020年7月における株主総会の運営について調査を実施した弁護士の124ページに及ぶ報告書を受け取ったことを開示し、その内容を自ら公開しています。
当該報告書では、いわゆる「物言う株主」に対して、東芝が経済産業省に泣きついたことが記されていました。
そして相当レベルの連携を実現しながら対応し、一部の株主はこれにより圧力を受けて、正当な議決権行使ができなかったという取りまとめがされています。
結論として、この総会が公正に運営されたものとは言えないとしています。
詳細はPDFファイルで開示されていますので、ご興味のある方はぜひ報告書を直接お読みいただければと思います。
東芝も経産省も万事休す
経産省の広報室は、この開示された報告書内容については「確認中」ということで、具体的に関与を認めるような発言はしていません。
とにかくご一読いただくとすぐにわかるように、相当に詳細な説明の記述があり、事実無根で弁護士が捏造したなどという発言では到底に逃げ切れない、猛烈に厳しい内容になっています。
テレビドラマならば、もはや万事休すという場面が想起されるところ。最近辞任した当時の社長兼最高経営責任者だった車谷暢昭氏とアクティビストとの対立が深まっていたことを背景に、東芝がアクティビスト対応について経産省に支援を要請してこの総会を乗り切ったことは間違いのない状況となりつつあります。
当時官房長官だった菅義偉氏の名前も登場
ただ、そこで俄然注目を浴びる存在となってきているのが、当時、安倍前政権の官房長官であった菅首相の存在です。
報告書には何を言ったのかさえ克明に書かれており、内外から非常に強い関心を浴びる結果になりはじめています。