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五輪強行の理由ダンマリ、菅総理に国民総スカン。「二階降ろし」で後ろ盾消滅、五輪前後に総辞職も=山崎和邦

米中対立の先鋭化で始まる「二階おろし」で後ろ盾をなくす菅総理

最近の中国は、国内統治はもちろん、強権発動的なものであろうが、対外的な覇権志向を露骨に示すようになり、米中対立が激しくなっている。米中は互いに核兵器を所有しているから、全面的軍事衝突はあり得ず、経済上の権益対立に過ぎないという見方が一般的である。

米ソが繰り広げたイデオロギー闘争は、これこそが冷戦であり、互いに核兵器を所有しているから火力を用いた戦争にはならなかっただけのことであり、それも1962年10月の「キューバ危機」のように、核戦争寸前まで行ったこともあった。現在の米中関係は、それに比べれば、経済上の権益対立に過ぎないと見るのが普通であろう。

この中国に対して、過去に訪中団を率いてきた代表が、親中派とされている二階幹事長である。ところが、安倍前首相(1A)は麻生副総理(2A)と手を携える甘利経済産業相(3A)は「経済安全保障」の旗を掲げて対中強硬路線を押している。そして、安倍前首相が2016年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋構想」は脚光を浴びつつある。

自公連立政権は1999年以来、民主党時代の3年を除いて、通算18年続いた強固な枠組みである。その自公連立政権が3Aを中心とした経済安全保障の旗を掲げて対中強硬路線を推していれば、親中派の二階と対決することになる。ところが、二階氏は自民党幹事長の在職年数は、史上最長となった。その史上最長の歴史を持つ二階幹事長を「おろす」動きが親中派だった二階と対中強硬路線の3A(安倍・麻生・甘利)との対立を生めば、二階は幹事長の座からおろされる。

(失言の多い政治家は、見方を変えれば底抜けの正直者でもある。先日、安倍・麻生・甘利の3人がそろったところで、麻生氏は「A、A、A、この3人がそろえば何となく政局って顔だから新聞記者がたくさん来ている」と軽口をたたいた。)

そうすると二階によって自民党総裁にならせてもらって、総理大臣になった菅総理は足元が危うくなる。そしてワクチン接種の不手際、五輪開催の曖昧な決め方、安倍急遽退陣後の暫定政権の性格を持っていること、とても自前の外交政策を展開できる力がないこと、それらを合わせれば菅総理の自民党政権は続いても、菅総理が続くか否かは別の話だ。

甘利経産相は「半導体戦略は、国家の明暗をかける戦いとなる。半導体を制する者は、世界を制する」、安倍元首相「経済安全保障の観点から見ないといけない。一産業政策ではなく国家戦略だ」と発言した。

要は半導体利権である。確かに半導体不足は世界的な大問題である。バイデンも同盟国と協力して供給網を見直す大統領令に署名して、7月の日米首脳会談共同声明にも「半導体を含む供給網についての連携」が明記される。

Next: 東京五輪次第で菅首相の退陣が決まる可能性も

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