外国人技能実習制度により、人身売買国とされている日本
アメリカ国務省は7月1日に発表した2021年版『人身売買に関する報告書』で、日本の外国人技能実習制度について、「外国を拠点とする人身売買業者と、国内の業者が、外国人労働者を搾取するために悪用し続けた」と指摘。そのうえで、問題があるとの報告が続いているにもかかわらず、政府が十分な対応をとっていないなどとして、日本について4段階の評価で去年と同じ上から1番目のランクとしています…。TBSが報じました。
これによると、アメリカが日本を人身売買国と指摘しているのは、外国人技能実習制度が強制労働につながるという制度の問題だけでなく、日本政府が、人身売買につながるようなことに関する取り締まりや、被害者に対する保護などへの取り組みが不十分だということのようです。日本政府に責任があることを、強く訴えています。
外国人技能実習制度が人身売買につながるとはどういうことでしょう…。外国人技能実習制度は、厚生労働省ホームページによると、外国人技能実習制度は、我が国が先進国としての役割を果たしつつ、国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術、または知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております…。
国が出している、外国人技能実習制度に関する説明パンフレットです。この制度が国会で審議されているときから、国内の人手不足を、安い外国人労働者で埋めるものではないかという、強い批判がありました。
外国人技能実習制度は、労働力補填の制度ではありません。しかし、中小企業を含め、労働現場での外国人労働者の待遇の悪さは、大きな社会問題となっています。
そんな環境下で、この実習制度が登場したことで、まるで国が認めた外国人労働者斡旋システムではないかという批判と、安い労働者確保システムにならないかという懸念がありました。
どうやら、懸念では終わらなかったようです。実際、外国人実習生が大量に行方不明になる事件も起きてます。
そのことは、米国側から強い指摘があって国会でも追求されましたが、ずっと前から外国人労働者の待遇悪化は問題になっているわけで、それを改善しようとしない政府の姿勢は、もっと強く問われるべきだと思います。
国が動きを知らないだけかもしれませんが、現場では外国人労働者の不当な境遇にあることは事実です。
なぜ外国人労働者の就労が「人身売買」と呼ばれるのか?
さて、なぜ「人身売買」なのかですが、この外国人技能実習生度を含め、外国人労働者斡旋の仕組みはこうです。
外国の方が、日本で働きたいとするなら、現地斡旋業者に日本企業の紹介を頼みます。その際に、登録料のようなものが必要なのだそうです。
決して安い金額ではなく、そのために日本で働きたい人は、斡旋会社、日本に労働者を紹介する「送り出し機関」という表現がみられるようですが、その機関に登録料を肩代わりしてもらっているようです。
労働者側からすれば、「借金」ですよね。しかもその行為は「違法」なのだそうです。登録料自体も、怪しいものです。
ここに「借金に基づく強制労働」という定義が成り立ちます。
日本側では、「送り出された」労働者を日本国内に紹介する斡旋業者が存在します。“送り出し”に対してだと「受け入れ機関」とでも言うのでしょうか。そこから労働力を欲しがっている企業に紹介され、その際には手数料が支払われることになります。
さらに、本国からの「送り出し機関」は、同業者に勝つために、自身が“送り出した”労働者を採用してくれると、直接、受け入れてくれた企業に「キックバック」を払うところもあるそうです。
当然、「送り出し機関」から日本国内の「受け入れ機関」にも、きっと手数料は払われているのでしょう。
実際に労働者本人に支払われる金額は、これらいくつもの手数料やキックバックを差し引いて計算された金額になっているのでしょう。
それが最低賃金と照らし合わせて、どう整合性を取るのかはわかりませんが、おそらく、表面額と手取り額が違うことが起こっているのかもしれませんね。その辺の仕組みはわかりませんが、実際の労働者が、十分なお金をもらっているとは思えないのですがね。
外国人労働者は「借金」を背をわされている「弱い立場」で、声も出せないのでいます。まずはこの外国人技能実習制度を白紙に戻して、制度設計をやり直したほうが、良いのではないでしょうかね。
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