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日本の最低賃金はまだ低すぎる。海外なら“人身売買”劣悪な労働環境の実態=原彰宏

賃金上昇は消費活動を促す

経済を考えるうえでは、これは当然の政策ではありますが、海外と日本での社会構造の違いを考えると、海外では歓迎される政策でも、日本社会においては、プラスとマイナスの現象が起こるということになります。

労働者を守ることで作られた労働基準法ではありますが、解雇規制を含め、経営者側と労働者側との関係から、それが本当に労働者を守っていることなのかどうかは、見直すところが出ていているのではないでしょうか。

圧倒的に労働者の立場が弱かった社会背景での法律と、AIなどのデジタル社会における生産効率が高まる社会における労使関係は、微妙に変わってきているように思えるのですがね。

どうしても中小企業にとっては、収益圧迫における生き残りが人件費削減である状況は変わらず、そのしわ寄せが来るのが、非正規雇用者であり、外国人労働者を低賃金で働いてもらうという構図がある現状を、見過ごしてはいけないと思います。

外国人労働者にも最低賃金制度は適用される。しかし…

外国人労働者にも最低賃金制度は適用されるのか?教科書での答えは、完全に「Yes」でしかありません。当然のことです。

外国人人材派遣、人材紹介を事業内容とし、日本最大級の外国員就職情報サイト「NINJA」を運営している株式会社グローバルパワーのホームページには、外国人労働者に関して次のように載せています。

「外国人労働者にも最低賃金が適用されるのですか?」と、よくお問い合わせを頂きます。答えは「イエス」、外国人労働者にも適用されます。

外国人であっても、日本国内で就労する限り、労働基準法・労働安全衛生法・最低賃金法などの労働保護法規をはじめ、職業安定法、労働者派遣法、労働組合法などのすべての労働法規が当てはまります。

それが、たとえ在留資格などの入管法(出入国管理及び難民認定法)の点で違法な就労だったとしても適用されます。

また、労災等においても同様で、違法な就労であっても休業損害に対する賠償発生しますし、国民保険・厚生年金・健康保険などの社会保険も日本人と同様に適用となります。(※国民健康保険は1年以上の滞在が見込まれるものに適用)

昨今、社会的な問題となっている「技能実習生」ですが、技能実習生にもこの最低賃金が適用されます。労働基準法のもと雇用をすることがルールとなっていますが、一部の悪徳な業者や雇用主による搾取で課題が多いのが現状です。

出典:【2020年】外国人にも最低賃金は適用されるのか?最新2020年10月地域別最低賃金 – GLOBALPOWER UNIVERSITY(2020年9月30日配信)

上記の情報は「2020年10月」更新のもので、2021年の最新データは、前述紹介の厚生労働省ホームページをご確認ください。

この外国人人材派遣・紹介を行う「株式会社グローバルパワー」のサイトでは、明確に、外国人労働者も日本における最低賃金制度の対象だとし、昨今問題になっている入管法による違法就労にも触れていて、「技能実習制度」にも触れています。

Next: 政府の対応が不十分?日本が「人身売買国」に認定される理由

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