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日本の最低賃金はまだ低すぎる。海外なら“人身売買”劣悪な労働環境の実態=原彰宏

動かない日本政府に批判が集まる

もちろん、このようなひどいケースばかりではないことは、確認しておかなければなりません。

強制労働ですから、待遇が劣悪で、逃亡防止のためにパスポートなどが没収されていることは、なんとなくですが想像されます。あくまでも想像ですがね。

この現状に、米国国務省は、人身売買と闘う「ヒーロー」の1人に、この問題に取り組む指宿昭一弁護士を選んだとも報道されています。

繰り返しますが、このことに関して、日本政府は実に消極的な態度であるということを、米国国務省は問題視しているのです。「外圧で動く」良い例なのかもしれませんね。

先程紹介したTBSニュースでは、「中国については、ウイグル族ら100万人以上が強制労働をさせられているなどとして、最低ランクに分類したほか、ロシア、北朝鮮、ミャンマーも最低ランクとしています」と結んでいますが、果たして日本は、中国のことを非難することができるのでしょうか…。

劣悪な労働環境を見直すべきとき

日本は、世界先進国の中でも、最低賃金が低い国だと言えます。それは収益を生む企業が育っていない、付加価値を生む企業が育っていないことも考えられます。

次世代インフラ設備において、日本企業が海外との競争に負けているということ、生産性の低い企業が多いということが、問題だともされています。効率の良い生産性の高い分野で競争力で負けている日本の現状に、日本における賃金が上がらない要因の一端は、あるのかもしれませんね。

また、賃金はコストで、しかも頑丈な「固定費」であることも、要因にはあると思います。労働力が資産であるという概念になれるくらい、労働のありかた、労働の評価基準が変わることが求められます。

つまり、労働者側も待遇改善なり、身分保全の思いはわかりますが、個人的には、「メンバーシップ型」の労働形態から「ジョブ型」に転換することも考えるべきではないかと思います。

ただ会社に行けば給料がもらえるのではなく、収益を生む提案ができるとか、企業利益に貢献していることが評価されるとか、能力が評価されることが求められると思います。それが賃金アップにもつながると考えますがどうでしょう。

「労働市場の流動性」「労働力流動化」は、賃金を上げるには必要な要素だと思います。今の評価方式では、解雇規制が厳しいことは雇う企業側にとっては、資産ではなくコストである従業員給与アップは、リスクでしかないように思えます。企業業績悪化の時の従業員給与負担は、かなり重いですからね。

特に生産性が低いと思われる中小企業にとっては、安い労働力を求める動きは、変わらないと思います。身軽な労働者を求める傾向にあることは否めないということです。それが非正規雇用者や外国人労働者にしわ寄せがいっていて、ひいては最低賃金が上がらない状況になっているのではないでしょうか。

成果主義と聞くと、眉間にシワを寄せる人が多いようですが、サラリーパーソン自体が変わらなければ、おそらく社会構造は変わらないと思います。

企業側にも生産性を重視した経営が求められます。何より世界での競争に勝てる企業が求められます。コロナをきっかけとして、企業のありかた、労働の考え方、企業と従業員との関係などを、見直す良いチャンスだと思うのですがね…。

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らぽーる・マガジン』(2021年7月19日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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