あなたへの「攻撃の仕方」はさまざまな形で現れる
ところで、いくら「あいつが嫌いだ」「いやな奴だ」と、あなたを認識するようになった相手でも、あなたに対して「攻撃」してくるパターンはさまざまです。
「無視する」「嫌味を言う」「陰口を叩く」「乱暴に接してくる」「罵倒してくる」「からかう」「嘲笑する」など、それこそいろいろあるでしょう。
相手とあなたとの関係性、あなたと相手の立場の強弱などによっても、相手が嫌うあなたへの「攻撃の仕方」は異なるのです。
心理学では「返報性の原理」がよく知られています。
相手に好意的で親切であれば、相手からも好意的な反応が返ってくるという理屈です。相手があなたを嫌っていれば、あなたも相手を嫌う「悪意の返報性」がはたらきます。
こうなると、顔を見るだけで、イヤになります。虫唾が走ります。
しかし、クレバーな対処法を心がけるならば、あなたを嫌う相手への「悪意の返報性」をはたらかせてしまうのは、安易すぎます。それこそ人間関係の泥沼化を招いてしまうからです。
「アサーティブな対処法」を身に着けよう!
あなたを嫌う相手が、「何らかの攻撃」を仕掛けてきた時に、対処法で一番大事なのは、「アサーティブな対応」です。
人は、他人からの「何らかの攻撃」を受けた際に、相手との上下関係や、力関係で、次のような対応をしがちです。
・パッシブな対応(受動的・消極的・従属的)照れ笑いする。縮み上がる。媚びる。黙り込む。泣く。謝る……などなど。
・アグレッシブな対応(能動的・積極的・攻撃的)言い返す。罵倒する。睨み返す。嘲笑う。掴みかかる……などなど。
これらパッシブとアグレッシブのいずれの対応でも、クレバーな対応とは言えないでしょう。
心理学で「ペーシング(同調行動)」と呼ばれる行動に他ならないからです。ペーシングとは、相手のペースに合わせることを指しています。
たとえば、パワハラ上司に怒鳴られて、縮み上がって震えてしまうのも、パッシブそのもので、相手の暴力的な態度に迎合しています。これもペーシングです。
また、罵倒してくる相手に、怒鳴り返して応戦するのも、相手の挑発にアグレッシブに応じています。これもペーシングなのです。
いずれのペーシングの行動でも、問題の根本的解決が図れず、そのままの相手のペースが続き、かえってエスカレートさせかねない行動といえます。相手の攻撃をいつまでも続けさせてしまうのがペーシングだからです。正攻法で攻撃を中止させる行動こそが必要なのです。
そこで、覚えておきたいのが、パッシブな対応でもなければ、アグレッシブな対応でもない、第3の対応としての「アサーティブな対応」なのです。
アサーティブの意味は、「対等な関係における自己主張」になります。相手よりも優位に立ったり、劣位に立つのではなく、感情を波立てることなく、冷静に合理的に、落ち着いて、対等な立場で、自分の気持ちを率直に吐露し、相手に気づきをもたらす態度なのです。
これが、攻撃を中断させる効果をもたらします。