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私が米Ginkgo Bioworks社に投資した理由。未上場ユニコーンの株主になる方法、必読の資料、合成生物学が世界を一変させる可能性について=中島聡

最近、Ginkgo Bioworks(SRNG)という会社の株を購入しました。バイオテックのベンチャー企業で、遺伝子を組み替えたバクテリアを活用した「バイオ工場」の実用化を目指しています。それだけなら、それほど珍しい話ではありませんが、Ginkgoが目指しているのは、この分野でAmazonのAWSのような存在になることです。(『週刊 Life is beautiful』中島聡)

※本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2021年8月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:中島聡(なかじまさとし)
ブロガー、起業家、ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)、MBA(ワシントン大学)。 NTT通信研究所、マイクロソフト日本法人、マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発に携わっている。

Ginkgo Bioworks

最近、リスクは高いものの大きなポテンシャルを持つ会社の存在を知り、私なりの調査をした挙句、株を購入した会社があります、Ginkgo Bioworks(SRNG)という会社です。

きっかけは、ARK InvestがGinkgo Bioworksの株を大量に購入したという報道です。ARK自身の「ARKK Holdings of Ginkgo Bioworks」というページによると、8月5日から20日にかけて、823万株を購入しています。1株あたりのコストは約$10なので、$82.3million(約90億円)を投資した計算になります。

ARK InvestはCathy Woodが運営する投資ファンドで、Teslaのポテンシャルを早々に指摘したことで評価が高まり、私も彼らの投資先には注目しています。

Ginkgo Bioworksは、2009年にMITの研究者たちによって設立されたバイオテックのベンチャー企業で、遺伝子を組み替えたバクテリアを活用した「バイオ工場」の実用化を目指しています。

分かりやすい例が、イースト菌を使ったCBDの生産です。

CBDは、大麻に含まれる体の痛みを和らげ、リラックスさせてくれる成分ですが(幻覚症状を起こすのは別の成分です)、大麻からCBDを生産する遺伝子だけを抜き出し、イースト菌に組み込むことにより、そのイースト菌を培養するだけで、CBDを安価に大量生産することが可能になるのです。

それだけなら、それほど珍しい話ではありませんが、Ginkgoが目指しているのは、この分野でAmazonのAWSのような存在になることです。

つまり、自分たちは、そんな「バイオ工場」ビジネスに特化して、自動化による生産効率の向上と生産コストの低下を目指し、さまざまなバイオベンチャーがバイオテック・ビジネスを立ち上げる際のプラットフォームになることを目指しているのです。

上のCBDのケースでは、Cronos Group(CRON)という大麻ベンチャーに向けてCBSの大量生産を行なう、という試みです(Cronos Group and Ginkgo Bioworks Amend Agreement to Accelerate Commercialization of Cultured Cannabinoids and Cronos Group Begins Commercial Production of CBG)。

Bold Threadsというベンチャー企業は、生物を活用した新しい素材を開発・生産している会社ですが、ここもGinkgoと組んで、絹糸の人工生産に取り組むと発表しました(Bolt Threads Partners With Ginkgo Bioworks to Improve Efficiency and Sustainability of Its Bioengineered Silk)。

Antheiaは、遺伝子工学を活用した薬の開発をしている会社ですが、ここもGinkgoと組んで、新薬の開発をすることをアナウンスしました(Antheia and Ginkgo Bioworks Announce Partnership to Accelerate Production of Essential Medicines using Synthetic Biology)。

これらの例を見て分かる通り、遺伝子工学が応用できる範囲は多岐にわたり、Ginkgoはそれぞれのビジネス・セグメントでイノベーションを起こそうとしてる複数のベンチャーに対して「自分たちでバイオ工場を作るのと比べると、はるかに安価に生産できる」というプラットフォームを提供できるのです。

ビジネスモデルとしては、現時点では、研究施設の使用料が大半ですが、今後は、成果物からのロイヤリティや、パートナー企業の株を持つことによるキャピタルゲインを目指すとのことです。Ginkgoは、現時点では未上場の会社ですが――

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image by:T. Schneider / Shutterstock.com

週刊 Life is beautiful』(2021年8月24日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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