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冷蔵庫にカメラ機能は必須。中国家電「スマート化」に日本惨敗。健康・高級・ペットの3大トレンドで市場急成長=牧野武文

テレビは大画面、高機能化でスマホと棲み分け

テレビとエアコンは、2019年の水準に回復をすることができませんでしたが、販売店は悲観はしていません。

テレビは、半導体不足の影響で品薄となり、実勢価格が上昇気味になりました。また、スマート化も進み、希望小売価格自体も上がっています。

2019年までは、厳しい価格競争が進行していましたが、その悪い循環から脱出できる機会がやってきていると捉えられています。

今後、よりスマート化が進み、有機EL(OLED)が標準となり、壁掛けなどテレビの設置場所も変わり、より市場が拡大するのではないかと期待をされています。

すでに若い世代の間では、テレビは必須の家電ではなくなっています。映像はスマホで見るのが当たり前になり、テレビ離れが進んでいます。

その中で、市場規模を維持していることに関係者は自信を持ち始めています。今後も、台数ベースでは減少しながらも、単価が上がり、販売額ベースでは市場を維持、場合によっては拡大が期待できる状況になりつつあります。

家電業界はコロナ禍を完全払拭、成長軌道に乗る

エアコンも2019年の水準を大きく割り込みましたが、2020年を上回ることができ、関係者は安堵をしています。2020年7月からエアコンのエコ性能の基準が改訂されることから、2019年は旧基準のエアコンの強い駆け込み需要が生まれ、将来の需要を先食いすることになりました。

2020年は、その反動とコロナ禍で売れ行きが大きく落ち込みましたが、2021年はそれを上回ることができました。2021年は天候不順もあり、エアコンにとっては悪条件が重なりましたが、それでも上回ることができたのです。今後も順調に買い替え需要に従って、堅実に売れていくと見られています。

その他の家電は、2020年の落ち込みをカバーして、2019年の水準を上回ることができました。買い替え需要をベースに、さらにはウォシュレット、洗顔器、マッサージ機などよく売れる商品も定期的に登場してきています。

また、スマート化により価格が高くなっても売れる状況が生まれています。

2021年上半期で、家電業界はコロナ禍の負の影響を完全に払拭をし、再び成長軌道に乗るという状況になっています。家電業界の人はみな明るい表情をしています。

都市部はスマート化、地方は生活水準アップで家電市場全体が成長

では、スマート家電にはどんなものがあるのでしょうか。今回は、中国の家電の今の状況をご紹介します。

2021年上半期の中国の家電市場の販売額は4,293億元(約7.3兆円)で、2019年上半期の4,297億元にはわずかに届きませんでした。この市場規模は、ちょうど日本の家電市場の1年分の売上とほぼ同じで、中国は日本の2倍の市場規模ということになります。しかし、人口は10倍あって、GDPは日本より上なのですから、この市場規模は小さすぎます。

つまり、中国の家電市場はまだまだ成長過程にあるということです。特に地方都市、農村の下沈市場で家電が売れるようになっています。

中国政府は最近「中国から貧困はなくなった」という宣言をしていて、日本のメディアはそれを嘘だと盛んに報道していますが、貧困がゼロになったかどうかはともかく、農村の経済状況がこの10年で大きく改善されていることは間違いありません。国家統計局の統計によると、農民の2021年上半期の可処分所得は9,248元(約15.8万円)となり、前年同時期から14.1%の伸びとなりました。都市住民の可処分所得の伸び率は3.4%であるので、農村の購買力は大きく上がっています。

都市部では、スマート化・高級化による単価の上昇、下沈市場では低価格帯の標準品の販売拡大という両輪で家電市場は成長しています。

現在の中国の家電の販売で重要なキーワードになっているのが「健康」「ペット家電」「スマート化」の3つです。

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