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日大背任事件「モリカケ桜」超えも。選挙後の岸田政権に“アベ友”爆弾炸裂=原彰宏

資金不正還流の手口

いろんな所で報道されているので、問題の全容はご存知のとおりですが、この問題には、まず登場人物が2人出てきます。

日本大学理事の井ノ口忠男容疑者と、大阪の医療法人「錦秀会」前理事長の籔本雅巳容疑者です。

今回「容疑者」となったのはこの2人ですが、2人の関係者として、理事長の田中英壽氏にも、特捜部の捜査が入ったということです。

お金の流れを追いかけると、こうなります。

日本大学は、株式会社日大事業部(日本大学子会社)に、日本大学医学部附属板橋病院建て替え業者選定を依頼します。

井ノ口日大理事は、株式会社日大事業部の取締役でもあります。

株式会社日大事業部とは、事業部は日大が100%出資して設立。各学部の設備や備品の調達などを手掛け、法人登記では「旅行業」「洗濯業」「冠婚葬祭業」「保険代理店業」「広告業」などと事業目的が多岐にわたっています。

選定された会社は、都内にある「佐藤総合計画」です。この選定段階で不正があったのです。

板橋病院の設計業者の選定は総合評価を競う「プロポーザル方式」で行われ、4社が参加しました。選定された佐藤総合計画は、選定委員会の評価点では1位ではなかったのですが、井ノ口取締役(日大理事)が日大関係者らに指示して評価点を改ざんして、佐藤総合計画社を受注させた疑いがあるのです。

佐藤総合計画は、2020年2月に26億6,123万円を提示し、その後の値引き交渉で3月に、24億4,000万円に決まったと、朝日新聞は報じています。

この業務委託で、日大から、決定した佐藤総合計画に先払いとして7億3,000万円が振り込まれます。その後、佐藤総合計画から、都内にある医療コンサルタント会社に2億2,000万円のお金が振り込まれます。

当初は3億6,000万円の要求だったそうです。手数料として15%要求した計算になります。

井ノ口容疑者が、佐藤総合計画からの手数料を、株式会社日大事業部にではなく、都内の医療コンサルティング会社に支払うように指示したようです。2020年8月のことです。

他方、日大事業部は日大から業務委託費として1億8,000万円の支払いを受けました。契約金の1.5%にあたる基本報酬と、値引き額の65%にあたる成果報酬を合わせた額だったということです。

この減額された2億2,000万円が「不要の支出」として、不正流用にあたるようです。

この2億2,000万円を受け取った医療コンサルティング会社の全株を所有しているのが、もうひとりの容疑者の薮本雅巳医療法人「錦秀会」前理事長です。

この医療コンサルティング会社は、どうやら実態のないペーパーカンパニーらしいのです。

そして、複数の会社を経由させて、井ノ口忠雄日大理事のもとに2,500万円が渡されました。

表面上、実際に実行したのは井ノ口容疑者ですが、佐藤総合計画選定の際に井ノ口容疑者は、薮本容疑者に相談していたようではあります。

井ノ口容疑者は昨年、医学部付属板橋病院(東京都板橋区)の建て替え工事を請け負う業者が決まる前に、通信アプリで「価格を探ります」などとメッセージで送信し、日大側の契約の条件などについて報告していたとのことで、井ノ口容疑者は、籔本容疑者の了承を得た上で、都内の設計会社を選定させるための手続きを進めていったとみられます。

籔本容疑者は、井ノ口容疑者の犯行に加担した「身分なき共犯」として逮捕されたのですが、こうしたメッセージのやりとりなどから、特捜部は、籔本容疑者についても、佐藤総合計画を介した不正な資金流出に関与した疑いが濃厚とみて、捜査を進めているとのことです。

事件の中心は医療法人「錦秀会」の前理事長

登場人物はこの2人なのですが、ポイントとなるのは、スポーツ界や政界に人脈がある薮本容疑者の方ですね。

井ノ口容疑者と薮本容疑者は、ゴルフで知り合ったようで、タイガーウッズを間に挟んで撮られた2人の写真が公開されています。

この捜査の中で、2人に近い、権力を持つ人物である田中理事長の関与を、特捜部は調べているようで、その中で発せられた理事長の言葉が「政治家に渡した裏金」発言になります。

ここまで政治家の名前が出てきていないのですが、そこは「文春砲」です。

井ノ口容疑者がいる株式会社日大事業部、薮本氏が全株出資して自身も右腕に社長をさせている医療コンサルティング会社はわかりますが、佐藤総合計画という会社が間に入っているのが不思議です。

「手数料」を振り込ませることができるこの会社は、いったいなんなのでしょう。

佐藤総合計画を日大に紹介したのは、自民党の故野中広務元官房長官の元秘書です。彼が日大と取引のある葬儀業者を通じて田中氏に持ち込んだ。この元秘書は今夏、コロナで亡くなっていましたが、葬儀業者に詳しく事情を聴いた特捜部は、一気に勝負に出たのです。

出典:「俺が逮捕されれば裏金のことも全部ぶちまける」“日大のドン”田中英寿理事長が口にする“不穏な言葉” – 文春オンライン(2021年9月23日配信)

そしてこの薮本雅巳容疑者は、安倍元首相の長年の友人である“アベ友”だったと、日刊ゲンダイが報じています。

記事にはこうあります。

例えば、安倍氏が首相だった2017年5月の「首相動静」には、別荘のある山梨県河口湖のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」に籔本容疑者が同行。他にも2人が仲良く並んで写っている写真も拡散しており、安倍氏は籔本容疑者を「籔ちゃん」と親しげに呼んでいたという報道もある。

出典:【安倍晋三】「日大汚職事件」の容疑者は“アベ友”だった! モリカケ・桜に続く新疑惑にネットは大騒ぎ – 日刊ゲンダイDIGITAL(2021年10月7日配信)

いよいよ大物政治家の名前が、登場してきました。

Next: つながる点と線。薮本容疑者が理事「錦秀会」の経営は火の車?

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