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日本のコロナ急減に世界が注目、ウイルス自己崩壊説も。次の変異株と「第6波」に要警戒=高島康司

変異して拡散している東京・埼玉型(オメガ株)

このように見ると、ワクチン接種が拡大しているので第6波は起こらず、パンデミックはこのまま収束する……と言い切ることはできないことが分かる。

日本では例外的に感染が収束しているが、海外ではいまだに感染の拡大が止まらない国も多い。

もちろんこのまま収束して欲しいが、11月頃になると新たな変異株によって第6波が発生しないとも限らない。その可能性は否定できない。

では、第6波を主導するような新たな変異株の拡散は見られるのだろうか?

いまでも多くの変異株は生まれている。その多くは世界的に拡散する前に崩壊してしまうことが多いものの、「アルファ株」や「デルタ株」のように新たなパンデミックの波を主導するものもある。

そのひとつは、「オメガ株」と呼ばれる変異株だ。これは別名、「R.1亜種」とも呼ばれ、2020年12月に東京で初めて確認された「東京・埼玉株」から変異したタイプだとされている。

「ハーバード・メディカル・スクール」の元教授で感染症の専門家であるウィリアム・A・ハセルタイン博士は、「アクセス・ヘルス・インターナショナル」の専門家とともに、この変異株を研究している。博士によると、「R.1亜種」は、「アルファ株(第4波)」や「デルタ株(第5波)」に簡単に取って代わられたが、進化してウイルス適性を獲得したことで復活し、数週間のうちにいま蔓延している「デルタ株」に取って代わる可能性があると予想している。

さらに博士は、この変異株は世界中で1万人以上が感染し、急速に拡大しているという。すでにアメリカの様々な州で検出されており、ケンタッキー州の老人ホームでは、45人の入居者と医療従事者が感染した。

そして、この「R.1亜種」は多くの独自の変異を持つという。この変異は、回復期の血清中の抗体に対する抵抗性の増加や、中和抗体に対する抵抗性の増加をもたらすので、感染者の抗体を回避する能力が高いとしている。

つまり、ワクチンの効き目も弱くなる可能性があるこということだ。

米国で見つかった変異株(B.1.630)

「R.1亜種」ほど拡大はしていないようだが、他にも危険な変異株が発見されている。

そのひとつは、「ルイジアナ州立大学」の研究者が同州で発見した「B.1.630」だ。これはまだ発見されたサンプルが少ないので、「アルファ株」や「デルタ株」といったギリシャ文字の標記がされていない。

この新しい変異株は、タンパク質の「E484Q」の変異のほか、他の変異や欠失を多く含んでおり、免疫回避性があると考えられている。いま徐々に拡大しているようで、現在全米で79以上のこれに類似したタイプが検出されている。

ロシアでも変異種が発生

また、これらと並んでロシアで発生し、ヨーロッパに拡大している変異株も注目されている。「B.1.1.523」だ。

おそらくロシアで発生したもので、これは「世界保健機構(WHO)」が公表している「現在懸念されている亜種(VOC)」に指定した変異株に共通した免疫回避能力を実現する、スパイクタンパク質の変異が組み合わされている。

この変異株は、「アルファ株」や「デルタ株」が優勢であるにもかかわらず、すでにドイツやロシアをはじめ、ヨーロッパの一部地域で急速に拡大している。また、アメリカやオーストラリアでも、この変異株の感染者の増加が報告されている。

Next: 油断できない「第6波」、私たちはどう備えるべきか?

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