ドル円は人民元を見ている
通貨というのは相対的なものであり、たとえばドルが高くなれば円が安くなるように、どちらかが高くなれば他方は安くなる側面があります。とくにGDP1位・2位の関係である「米中間」には、その側面が強いものがあります。
参考までに、ユーロとドルは必ずこういった相関関係にあり、ドルが高くなれば、かならずユーロは安くなります。ユーロを国家とみなすならば、ユーロ圏はアメリカに次ぎ世界2位の経済圏です。
そして、米中の通貨関係は、ユーロドルで起こるようなことになるはずなのです。ところが、ならない。こういうところが相場の難しいところでもあり、面白いところです。
要はドル高になるのであれば、人民元安になるはずですけど、実際は人民元高です。
そのあおりを受けているのはドル円であり、両大国が通貨高ですから、円が一方的な円安になっていると考えられます。
上記のグラフを見ていると先週、急激に人民元安が進行したら、急速にドル円も円高が進行し、そして、反転すると円安になり、ということが観察できます。
いまのドル円は、ドルと人民元を見ながら動いていますよ……と言いたいのです。
日米北京五輪ボイコットの意味
たとえば、バイデンも岸田も、北京オリンピックの政治的なボイコットを表明しています。
これはどういう意味かといえば、人民元高において中国のアメリカ向け輸出は値段が高くなります。どの国でもそうですが、通貨高は輸出産品の値上げを意味します。
そしてアメリカは、インフレが高進しているうえに、輸入産品の値上げです。
中国以外の国は、日本などは通貨安なのですから輸出はディスカウントになります。そのほか、カナダ、メキシコなどアメリカ大陸、欧州なども通貨安ですので、安くなるということでアメリカのインフレ抑止には一役買うことになります。
ところが、中国は高い値段のまま入ってくる。それも生活必需品が多数含まれているので、それは止めようがないということです。
結果、インフレの高進につながるということなのであろう、と私は思います。
つまり、アメリカにとってドル高人民元高は、良いことは何もないわけです。それ以前は「人民元安がダメだ」と言いながら、今度は「人民元高を止めよ」なんて言われたら、中国はアメリカの頭がおかしいと思うことは必然です。
結果、アメリカは表立って文句が言えないので、政治的ボイコットを言い始めたのではないか、とは想像しています。バイデンも岸田さん並みに、場当たり的な対処しかしていないな……と感じるこの頃です。