円安・年金減・物価上昇の三重苦が私たちの生活に襲いかかっています。このような時代でどうすれば豊かに暮らせるのか。著名投資家レイ・ダリオ氏の「変化する世界秩序に対処するための原則」から学べることがあります。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)
※有料メルマガ『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』2022年4月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。
どんどん減っていく公的年金
こんにちは。シンガポール在住、ファイナンシャル・プランナーの花輪陽子です。4月から公的年金の支給額が改定され、0.4%減額されます。
年金額は現役世代の賃金や物価の変動に合わせて、毎年改正されるからです。コロナの影響で現役世代の賃金が減ったために、2年連続の引き下げとなりました。
令和4年度の新規裁定者(67歳以下の方)の年金額の標準的な例は、夫婦で月額21万9,593円に(令和3年度の月額22万496円より903円の引き下げ)。
また、日本生命保険は、企業から預かる年金保険の予定利率を、2023年4月に年1.25%から0.50%へと引き下げます。日本生命の契約企業は約5,200社で、運用額は5.6兆円に及ぶといいます。
※参考:日本生命が企業年金利率下げ 1.25→0.5%、5200社影響: 日本経済新聞(2022年4月5日配信)
エネルギー価格や食品価格などの上昇から物価が上がっているなかでの年金額の引き下げは、リタイアメントプランをきびしくします。
このような環境から年金生活者への5,000円給付が議論されましたが、6月支給は事務作業が間に合わずに見送りになりそうです。
物価高で国民の暮らしはさらに過酷に
今回の年金改革で年金の受給開始年齢を75歳まで先送り(繰り下げ)できるオプションが加わりました。繰り下げれば月額は増えますが、もらえる期間は短くなります。
75歳男性の平均余命は12.18年、女性の場合は15.79年です(平成29年)。確率的には女性が繰り下げをしたほうがよいのかもしれません。
在職老齢年金の見直しなどもあり、高齢者はより働きやすくはなりました。アルバイトをする、株式投資をして配当を得るなどをして、支出以上に収入を増やす努力をする必要がありそうです。
このように改悪の微調整を重ねて年金システム自体は維持されるのでしょう。新型コロナ対策での日本の医療システムのように、システムは維持されても国民のためにはならない制度を延命させることになるのかもしれません。
しかし、国民の暮らしはゆっくりと蝕まれていきます。輸入物価やエネルギー価格などは確実に上昇していくからです。