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レイ・ダリオの「原則」に学ぶ、円安・年金減少・物価高の三重苦を日本人が生き抜く方法=花輪陽子

パクス・アメリカーナとブレトンウッズ2の終焉

例えば、現在のような経済制裁が長期間続けば、ロシア・中国・インド・イランなどでドル離れが加速する可能性が高いです。

国際通貨基金(IMF)が行っている「公的外貨準備の通貨別構成(COFER)調査」によると、2020年第4四半期に中央銀行諸行の外貨準備高に占める米ドルの割合は59%という過去25年間で最低の水準まですでに低下しています。
※参考:世界の外貨準備 米ドル比率が過去25年で最低に(2021年5月6日配信)

歴史を遡ると、覇権はオランダ、イギリス、アメリカへと移り変わってきました。覇権国は自国通貨を基軸通貨にすることができ、世界中のより貧しい国からお金を集めてきました。貧しい国はドルの預金を喜んでしました。その国の通貨を持つということは、その国の債券を保有するということです。

ドル離れが進めば、米国は世界中から低利でお金を借りることが、以前よりも難しくなります。

覇権国の衰退が少しずつ始まり、庶民の暮らし向きが悪くなると、国内での貧富の格差からの反乱と国外での紛争が起きます。

富裕層への課税を上げると、富裕層は国外に出て、税収が減ることになります。国の経済全体のパイは小さくなり、国は衰退します。ポピュリズムが対等し、革命などが起きることもあります。

「第三次世界大戦は避けられない」ジム・ロジャーズも警告

そして、中国が覇権取ろうと人民元が基軸通貨としてチャレンジし、新しい世界秩序のサイクルが始まります。

その過程で、新たに覇権にチャレンジする国と、衰退する既存の覇権国とでは歴史的に対立が生じ、「第三次世界大戦は避けられない」とダリオやロジャーズなども警告しています。
※参考:ジム・ロジャーズ「ウクライナ危機受け、商品や農業への投資加速」- 日経ビジネス電子版(2022年3月30日配信)

現在は1933年、1971年に逆戻りをしているようにも感じます。これほどにまで急激な物価上昇は近年ありませんでした。

時計を過去に戻すとその時には何が起き、マーケットはどうなったのでしょうか。次の一手を打つ前に歴史から学ぶ必要がありそうです。

1933年3月にアメリカは金本位制を放棄しています。1971年にアメリカのニクソン大統領はドルの兌換を停止することと、輸入課徴金を課すことを発表しました。このような一連の過程を経て1973年に各国は固定相場制に終わりを告げて、変動相場制へと移行しました。

レイ・ダリオの「変化する世界秩序に対処するための原則」

この歴史の大きなうねりの中に私たちは置かれているということを、直視するべきでしょう。単なる円安だけで騒いではいられないのかもしれません。

「変化する世界秩序に対処するための原則」(レイ・ダリオ)は、再生回数1,000万回に近づいており、非常にわかりやすく解説されています。

また、このような歴史のうねりの中でウクライナ問題を考察すると、プーチンは世界を無秩序社会へと導く革命家のような役割に写ります。

19世紀後半に書かれたドストエフスキーの『悪霊』では、既存体制を破壊するロシアの革命家の精神が見事に描かれています。

世界が多極化すると、グローバリゼーションが衰退し、ナショナリゼーションが進むことになります。中国はゼロコロナ政策で国を閉ざし、不急不要の渡航目的でパスポートを更新することを認めない方針を明らかにしています。

Next: 世界の騒乱の中で日本人はどう生き抜くべきか?

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