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ウクライナ危機で「グレート・リセット」本格始動。ロシアが2月24日に軍事侵攻した本当の理由=高島康司

独立系ジャーナリストが伝えるリアル

しかし、なんと言ってもウクライナの現状をもっともリアルに伝えているのは、現場から生でウクライナ市民の声を伝えているジャーナリストだ。彼らはロシア側にもウクライナ側にも属していないので、もっとも客観的な状況が分かる。彼らは全員がジャーナリストであるわけではない。さまざまなバックグラウンドを持ちながらも、現状を伝えるためにウクライナに入った人々だ。

筆者が知る限り、そうした人物は4人いる。スペイン人で弁護士のルーベン・ジスベルト、イギリス人の戦場カメラマン、マクシミリアン・クラーク、アメリカ人でチリ在住の映像作家、ゴンザロ・リラ、そしてイギリス「スカイニュース」の元レポーターで米海軍出身のパトリック・ランカスターの4人だ。

すでにルーベン・ジスベルトはウクライナから戻り、スペインに帰国している。またゴンザロ・リラは、滞在していたハリコフでネオナチの民族主義者に拘束、ないしは殺害されたと思われる。いま現場で報道しているのは、パトリック・ランカスターとマクシミリアン・クラークの2人だ。

彼らの報道からは、日本を含む西側の報道とはまったく異なる現実が見えてくる。例えば、ハリコフに住み、キエフの状況もビデオでレポートしていたゴンザロ・リラは次のようなことを報告していた。

・ゼレンスキーは侵攻するロシア軍と戦うために、刑務所に収監されている凶悪犯に武器を渡して解放している。このため、彼らによるレイプ、殺人、店舗襲撃などが相次いでいる。ゼレンスキーはとんでもないことをしている。いますぐやめるべきだ。

・ロシア軍はキエフをときおりミサイルで攻撃しているものの、キエフには侵攻していない。それにもかかわらず、キエフ市内では銃声が聞こえる。これは武器を手にした凶悪犯のギャングによるものである。

ゴンザロ・リラはこれを報告した後、ウクライナのネオナチには殺害リストがあるようだと言った。もし自分が報告できなくなったら、拘束か殺害されたと思ってほしいとのメッセージを残し、行方不明になった。ロシアの国営放送の「RT」をはじめいくつかのメディアは、リラは殺害されたと報道している。

パトリック・ランカスターの報道

しかし、こうした独立系のジャーナリストでも突出しているのがパトリック・ランカスターだ。彼はイギリスの「スカイニュース」の元レポーターで、米海軍出身のジャーナリストだ。ウクライナ東部のドンバスに8年間滞在して、現地から報道していた。ウクライナ戦争が始まってからは、戦場となっているマリウポリに拠点を移し、ここから生々しい現実を報道している。以下が彼のユーチューブのチャンネルだ。せひとも見てほしい。

・Patrick Lancaster
https://www.youtube.com/c/PatrickLancasterNewsToday

ランカスターは主にロシア軍が制圧したマリウポリ市内の地域で取材し、戦争に巻き込まれた一般市民に手当たり次第にインタビューして、なにがあったのか報告している。彼の質問は次のようなものだ。

・誰が攻撃しているのか?ロシア軍か、(ロシアが支援している)ドネツク人民共和国軍(DPR)か、またはウクライナ軍か?

・自己紹介してほしい。名前はなんで、どんな仕事をしているのか?

こうした質問を、戦争で殺された遺体がまだ放置されている現場で、たまたまそばにいた人々に質問している。かなりの数の人々に質問すると、ほぼ次のような答えが返ってくる。

・自分たちを攻撃したのはロシア軍やドネツク人民共和国軍ではない。ウクライナのネオナチ、「アゾフ大隊」だ。彼らは民間人と見ればみさかいなしに撃ってくる。建物を砲撃して破壊しているのも「アゾフ大隊」だ。

・「アゾフ大隊」は住民を避難させるといって家から出るように命じる。彼らの命令にしたがって避難を始めると、いきなり撃ってくる。これで大勢が死んだ。

・ロシア軍は、市民と戦闘員を見分けるために白い腕章をつけるように言ってきた。これを付けていると安全は保障するという。そこでみな白い腕章を付けて外に出ると、「アゾフ大隊」が狙い撃ちにしてくる。

・「アゾフ大隊」は学校や病院、劇場などに内部から爆薬を仕掛けて破壊している。それをロシア軍の仕業にしたいようだ。

・「アゾフ大隊」は、自分たちの傷病兵の手当をするために病院を占拠した。そのため、病院にいた入院患者や医者、看護師の退去を命じた。これに抵抗したものは容赦なく射殺された。

・ロシア軍は敵ではない。彼らは我々に物資を提供し守ってくれている。敵はゼレンスキーとネオナチの「アゾフ大隊」だ。

このような答えが圧倒的に多い。もちろん誰が攻撃したのか分からないという答えもあるものの、少なくともロシア軍に攻撃されたという証言はほとんどない。証言は「アゾフのやろう!なぜウクライナ人を殺すんだ!ぶっ殺してやる!」という激しい怒りの言葉がとても多い。

こうした証言は、インドやイスラエル、またベネズエラなどの中立国のメディアの報道でも見られる。

Next: 正反対の報道に揺れる世界。いったいなにが起こっているのか?

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