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急増するハンバーガー店の倒産。コロナ禍で唯一強かった業態も大手飲食チェーンの大量参入で本当に美味しい小規模店から潰れていく流れか

コロナ禍においてすこぶる好調とされてきたハンバーガー店だが、ここに来て早くも倒産が急増していると伝えられている。

東京商工リサーチによる記事によると、2021年度のハンバーガー店の倒産は6件(前年度1件)で、うち5件はコロナ関連倒産だったとのこと。長引くコロナ禍にくわえ、持続化給付金などの支援効果も薄まったことで、小・零細店を中心に手持ち資金が枯渇し、いわば息切れ状態となっているようだ。

くわえて20年ぶりの円安進行、さらにロシアのウクライナ侵攻等の影響で小麦など食材の価格が高騰していることも経営を圧迫してるという。

コロナ禍で唯一売上増だったハンバーガー業界

ハンバーガーといえば素早く供されてしかもお財布にやさしいという、ファストフードの代表格といった印象が強いが、いっぽうでそれらとは一線を画すものとして、お値段は少々張るが素材や製法などにとことんこだわっている、いわゆる“グルメバーガー”や“高級バーガー”と呼ばれる存在も、最近ではすっかり定着した感が。

いっぽうコロナ禍においては、テイクアウトや宅配の需要が大いに伸びたこともあって、ハンバーガー業界は好調をキープし、日本フードサービス協会によると、2021年4月の洋風ファストフード業態の売上高は19年4月と比べて14%の増加に。飲食店の全業態のなかで、コロナ以前との比較でプラスとなったのは、全業態のなかでも洋風ファストフードだけだったようだ。

このような流れを受けて、大手居酒屋チェーンの鳥貴族ホールディングスが展開する「トリキバーガー」のほか、ロイヤルホストなどを展開するロイヤルホールディングスの「ラッキーロッキーチキン」、また松屋フーズのライスバーガー専門店「米(my)バーガー/こめ松」などといった他の大手飲食チェーンが、テイクアウト部門強化の一環として、こぞってハンバーガー専門店に参入する展開に。

最近は「トリキバーガー」の誕生も契機となって、チキンバーガーのブームが来ているといった話もあるなど、とにかく賑やかな話題は尽きないここ数年のハンバーガー業界。ところが今回の記事によれば、このところ取沙汰されている“高級食パン”や“から揚げ専門店”と同様に、その淘汰はすでに始まりつつあるようなのだ。

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飲食大手の大量参入で淘汰される小規模店

そもそもハンバーガー店といえば、マクドナルドにモスバーガー、それにロッテリアやフレッシュネスバーガーなどといった巨大チェーンが古くから数多くあり、駅前などの各地の繁華街に行けば、必ずといっていいほどいずれかの店舗が存在するほど。

そんな元からレッドオーシャンな業界に、コロナ禍によるテイクアウト需要の伸びを受けて他の飲食チェーンも参入したのはいいものの、最近では一般の飲食店も通常営業へと戻りつつあって……と考えれば、今後の生き残りをかけた争いが相当に熾烈を極めるのは想像に難くないところである。

ただ、今回の記事にも“小・零細店の息切れ”とあるように、その影響をまず真っ先に受ける格好となっているのは、やはり体力のない個人店のようだ。先述の小麦価格にくわえて、ミートショックによる食肉価格の上昇といった原材料の高騰が、規模の小さい店にとってはかなりの痛手となるのは言うまでもなく、そこに同業他店が異様に増える状況とあっては、まさにたまったものではないだろう。

SNS上では、流行に乗って一時は爆発的に増えるもすぐに消えていくという、毎度おなじみのパターンに「またか…」「予想通り」といった反応がほとんどだが、なかには「元々やってた店はたまらんな」「逆に本当に美味しいハンバーガーが食べられなくなるとは」といった声も。要は経営体力のある飲食チェーンの参入による競争激化が、個性ある個人店の閉店に拍車をかけている……そんな見方も、一部では広がっているようだ。

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