高級スーパーの成城石井が上場を計画しているとのニュースが出ました。想定時価総額は2,000億円超とも報道されており、新規の上場としては屈指の規模感です。この金額は妥当なのでしょうか?また、スーパーマーケット業界が縮小傾向にあるなか、それに反して成長を続ける成城石井の成功要因はどこにあるのでしょうか。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)
この記事はカネコシンジさん(企画・リサーチ担当)とmasmさん(ライティング担当)との共同制作です。
※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2022年4月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
AppGrooves / SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。
Q. 成城石井が上場へ!2,000億円超の想定時価総額は妥当なのか?
首都圏を中心に全国で170店舗(2022年3月末時点の直営店舗数)を展開する株式会社成城石井が上場を計画しているというニュースが流れました。
想定時価総額は2,000億円超とも報道されており、新規の上場としては屈指の規模感です。
スーパーマーケット業界が縮小傾向にある中で、それに反して成長を続ける成城石井の成功要因はどこにあるのでしょうか?
これまで親会社が何度も変わるなかで着実に成長を続けている成城石井について、これまでの歴史、業績推移と注目の上場時の時価総額を詳しく説明していきます。
スーパー戦国時代での成城石井の上場
近年、小売流通業界は再編の動きが加速しています。業績好調のイオン株式会社はM&Aを繰り返していたり、株式会社関西スーパーマーケットがイズミヤ、阪急オアシスを傘下に持つエイチ・ツー・オー リテイリング株式会社と経営統合したりという状況です。
2020年以降はコロナウイルスによる在宅需要の増加で、各社のスーパーマーケット事業は好調でした。しかしスーパーマーケット業界の市場規模は1997年の少子社会の到来をピークに、縮小しています。
上図がスーパーマーケット業界の市場規模の推移です。
日本の人口は2008年をピークに減少傾向に転じていますが、少子化がこのまま進めば減少には歯止めがかかりません。すると、食品需要は減少することは確実であり、今後さらにスーパーマーケット市場は縮小すると考えられます。小売流通業界の再編の動きは、このような背景のもとにあると考えられています。
そんな中、成城石井の親会社である株式会社ローソンが成城石井の上場を計画していると日経新聞が報じました。ちなみにローソンは「上場も含めて、企業価値向上に向けて様々な検討を行っておりますが、現時点で決定した事実はございません。」と発表しています。
前述のとおり、スーパーマーケット市場は縮小し、飽和状態の中で、成城石井はどう発展し、ローソンはどう支えたのかを見ていきたいと思います。
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