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待望の上場「成城石井」想定時価総額2000億円は適正価格か?期待される3つの理由、ローソン傘下で成長できたワケ=シバタナオキ

<特徴その3:高い商品開発力>

成城石井の店舗を思い出してみると、生鮮食品はもちろんのこと、惣菜の印象が強いです。商品を企画・開発・製造するセントラルキッチンで、調達してきた食材や素材をもとに惣菜、デザート、パンなどを開発しています。

成城石井の人気のあるオリジナル商品はたくさんありますが、特に2016年2月にリリースされたdesica(デシカ)はメディアでも話題になりました。

グローサラント(グローサリー×レストランの造語)にも力を入れています。グローサラントは、スーパーマーケット等で調達した食材をその場で調理し、提供するサービスです。2017年9月に初店舗となるSEIJO ISHII STYLE DELI&CAFEが東京都調布市にオープンしました。

自宅でも再現できるようにレシピカードを用意して、売り場にある食材の使い方を提案しています。

ちなみにグローサラントの業態はアメリカでは普及しており、ホールフーズやウェグマンズでも取り入れられていますが、その実態は様々で、イートインと変わらないようなものもあるようです。

成城石井の買収の歴史

成城石井の歴史は1927年に創業され、1976年にスーパーマーケット事業を始めたところに遡ります。1996年には前述の成城石井の強みとなるセントラルキッチンの稼働を開始しました。

駅ビルへの出店も開始し、他社のスーパーマーケットとは一線を画した戦略で注目を集めました。しかし、成城石井は何度も親会社が変わるという買収の歴史がありました。

創業家が2004年に株式会社レインズインターナショナルに株式持分の2/3を65億円(=評価額は約97億円)で売却したことが1度目の買収でした。レインズインターナショナルは焼肉の牛角のチェーン展開で急成長していた会社で、シーフードレストランのレッド・ロブスターやコンビニのam/pmの買収も行っており、当時、多角化を進めていました。

レインズインターナショナル傘下の成城石井は駅ビルへを中心に店舗出店を進めましたが、思うように業績が伸びなかったことに加えてリーマンショックによる景気後退もあり、2度目の買収がなされることになります。

2011年に成城石井は丸の内キャピタルに420億円で買収されました。丸の内キャピタルは三菱商事と三菱UFJフィナンシャル・グループが設立した投資ファンドで、同社が設立する新会社に事業譲渡がなされるというものでした。

この時、他の商社も買い手候補としては名前が挙がりましたが、入札に参加したのは投資ファンド2社(CVCキャピタル・パートナーズ、ベイン・キャピタル)で、激しい交渉の末に丸の内キャピタルが買収しました。

その後、2014年に丸の内キャピタルが成城石井を売却する方針を小売各社へ表明しました。イオン、三越伊勢丹ホールディングス、ローソンの3社が手を挙げましたが、最終的にローソンが550億円で成城石井を買収しました。

Next: 2,000億円超の想定時価総額は妥当なのか?ローソン傘下で成長したワケ

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