国民を助けるどころか足をひっぱる日本政府
日本がまだ成長期にあった1980年代までは、確かに助けてくれただろう。
しかし、バブル崩壊が社会を蝕んでいった1990年代を経て、2000年代に入ってから政府はあからさまに日本国民を見捨てる方策に転換していった。企業を助けるために非正規雇用の拡大を促進し、グローバル化だと言って安い人材を求めて国外に工場を作る動きを促進し、さらに国外から安い労働者を大量に入れるようになった。
そして、政府は消費税をどんどん引き上げるようになり、それだけでなく少子高齢化を放置して、社会保険料も上げていくような政策をするようになったのである。
これだけ税金を毟り取っておいて、2019年にはさらに消費税を10%に増税して、コロナ禍の最中でも下げなかった。
では、これだけ税金を取るのであれば、高額な年金を保障してくれるのか。まさか。年金を払いたくない政府は、年金を薄く引き下げながら、受給年齢をどんどん後に後に引き延ばそうとしている。まるで国家的詐欺である。
「政府が何とかしてくれる」と思い込むのは危険だ。「何とかしてくれる」どころか、経済的に私たちの足を引っぱる元凶になりつつある。
「企業が何とかしてくれる」は思い込みでしかない
「政府が何とかしてくれる」と思い込んだら、思いきり貧困の落とし穴に堕ちる。政府はすでに日本国民を搾取の対象として見ており、何とかしてくれるどころか徹底的に絞り上げる方向である。
実際、コロナ禍で国民が苦しんでも、これだけ物価が上がっても政府は国民生活を救おうとしなかった。特別一時金の支給も10万円をたった1回やっただけだ。コロナ禍は2年以上も続き、政府は何度も緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などを出しているのに、10万円で何とかしろと言っているのである。
消費税を引き下げることもしない。
では、「企業」が何とかしてくれるのか。いや、企業が何とかしてくれていたのもバブル崩壊以前の話だ。
1990年代のバブル崩壊で日本企業は土地という担保の極度の目減りで資産に大ダメージを受け、さらに1989年から取り入れられた消費税によって消費までもが減退して、企業体力は急激に消えていくようになった。
それが顕著になったのが1990年代後半から2000年代初頭である。折しもグローバル化が急激に進むようになり、企業は激甚化していく競争に打ち勝つためにコスト削減と経営効率化が求められるようになっていった。
企業のコストの大きな部分は人件費が占めている。そのためにコストを削減するというのは、すなわち人件費を削減するということでもある。
だから企業は正社員を減らし、非正規雇用を増やし、給料を削減し、年功序列も終身雇用も止める方向に向かったのだ。さらにこれからは、ジョブ型雇用に転換していくことになる。
正社員は事あるごとに切り捨てられていく。企業はどんどん身軽になっていくのだが、だからこそ「企業が何とかしてくれる」と思ったらハシゴを外される。企業はもう私たちを一生養ってくれることはない。