FY2021の業績
次に、ソニーの今期の業績を整理していきます。
FY2021の通期連結売上高は9.92兆円、YoY(前年比)+10%で約9,200億円増加しています。
通期連結営業利益も1.2兆円、YoY+26%となっており、初の大台である1兆円を超えました。
売上高や利益の成長要因は、各事業の純粋な成長もありますが、円安も追い風となっています。売上が増大した映画事業や音楽事業は、アメリカ市場でドル建ての収益が生まれているため、利益に対してポジティブな影響が出ています。
具体的には、FY2021の平均為替レートが1$=112.3円、前年比+6.2円となっており、為替の影響による営業利益の増加額は+614億円であるため、円安が1円進むと営業利益に+100億円弱のインパクトが出る試算となっています。
セグメント別業績を見てみましょう。
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ゲーム 2.74兆円 +3.1%
EP&S 2.34兆円 +13.1%
映画 1.24兆円 +64.5%
金融 1.53兆円 -8.4%
音楽 1.12兆円 +18.8%
I&SS 1.08兆円 +6.3%
※ゲーム=ゲーム&ネットワークサービス事業
EP&S=エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業
I&SS=イメージング&センシング・ソリューション事業
前年比で最も成長したのは映画事業で、FY2021の売上が1.24兆円、YoY+64.5%となっており、最新作の「スパイダーマン」のヒットが成長に大きく寄与しました。
最も売上比率の高いゲーム&ネットワークサービス事業は、売上2.74兆円、YoY+3.1%(+835億円)でしたが、為替の+1,245億円の影響がなければマイナス成長となっていました。この辺りは、FY2019からFY2020においてコロナ禍の影響を受け成長が非常に大きかったものが、一定の落ち着きを見せたと言えるかも知れません。
エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション事業も同様に、為替の影響を+1,038億円受け、YoY+13.1%の成長率となっています。
金融事業が唯一のマイナス成長となっていますが、生命保険事業の運用益減少が主な要因となっています。