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「実家は子どもに残そう」の美徳が仇となる。相続前に決めておくべき“空き家”防止策=牧野寿和

子供を困らす実家の相続

実際に、Aさんが実家を相続したあと、次のようなことが起こったのです。

それは、将来、Aさんの子供に、住まわせてもいいと思っていました。しかし、Aさんの子どもには子どもの人生設計があり、Aさん自身と同様に、相続した実家に住むことはなかったのです。

また、実家を賃貸や売却するにしても、そのためには、家の中ものをすべて処分して、文字通り「空き家」にすることが必要です。

しかし、Aさんは、物置きとして使っていたため、文字通りの「空き家」にするためには、テレビなどは自分で処分することはできず、物置きにおいてあったものを処分する費用が、必要になります。

しかも、Aさんは物置きにおいてあるものすべてを処分しがたく、他の場所に、賃料を払い、そのスペースを借りることにもなりかねないのです。

ほかに、実家を賃貸で貸すには、「他人」が住めるようにリフォームをする費用も必要になります。

ただし、費用をかけて実家を賃貸や売却できればいいのですが、実家が最寄りの駅から遠いといったように、立地などに問題があり、賃貸で貸したり、売却したりすることは現実問題としては難しいようです。

Aさんは、相続したときの思い通りにはならず、途方に暮れてしましました。

相続してもらう価値があるのか?

さらに言えば、Aさんは実家を相続してから、毎年、固定資産税などの納付も必要に、なっています。

Aさんが相続して、実家を維持する、また処分するための金銭的な負担は、Aさんが相続する前には必要のなかったお金です。

つまり、Aさんは実家を相続することで、一時的には家計からの支出が増えても、結果として、家計収支がプラスになればいいのです。

しかし、マイナスになるのであれば、単に、負の遺産相続に過ぎなくなります。

Next: 実家を物置にさせないために、親ができることとは?

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