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米国市場はメルトダウン警報発令。パウエルFRB議長「経済後退も止むなし」のタカ派発言の可能性浮上=新天地

22日の米国市場はNASDAQを中心に大きく下げましたが、いよいよメルトダウンとなるのか?26日のジャクソンホールでのFRBパウエル議長の発言に市場は警戒をしている。想定以上のインフレで「経済後退も止むなし」という踏み込んだ内容となるのか疑心暗鬼になっている。(『新天地の株式投資日記』)

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※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年8月23日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。

プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。

利上げを警戒し始めた米国マーケット

22日のアメリカ市場はNASDAQを中心に下げ幅が大きくなった。向こうの報道ではやや大袈裟とは思うが「メルトダウン」(溶解)と。

ただ、日経平均は昨日も300円下げて100円ちょい安に戻った。225夜間先物はそこから再び300円の下げ。そう考えると日経平均先物はアメリカが下がったほどには売られてはいない。

金曜日に引き続きFRBがタカ派政策を継続するのではないか?という警戒感がきつく、長短金利が上昇継続。週明けの22日も警戒感が継続する流れになった。 日程的に26日にジャクソンホールでパウエル議長の講演が予定されていて、そこで金融政策の今後の方針が示されると考えられる。

そこで 「去年とは打って変わってインフレ抑制策についてタカ派的発言をするのではないか?」と。というか、そこまで追い込まれてるんじゃないかと。

普段なら、必ずしも政策金利引き上げ期間が株価の下げ継続につながるわけではない。しかし市場が予想していたよりも大きな利上げが連続して行われるようなケースでは、株価が継続して下がりやすい。まさに「歴史的に見ても大きなインフレ」退治のために利上げをぜざるを得ない、今がそういう状態なのではないか?と。市場参加者の考えが急に「元に戻った」ことが金曜月曜の下げの背景にある。

利上げで経済後退も止むなし。ハト派が転向

去年ジャクソンホールでパウエルは「インフレは一時的」と発言して、FRBは金融緩和を継続。株価は上昇したが、結局これがさらなるインフレを招き入れ、今の株安につながった大失敗の経緯がある。その「正否にかかわらず発言の影響は大きい」。

パウエルは今年7月のFOMC後の会見でも、政策金利上昇に条件付きながらブレーキをかけるような「ハト派回帰」的発言をして、先週までの株高につながった。

ところが ここにきて元々タカ派だったFOMCメンバーだけでなく、「元ハト派」メンバーからも、インフレを退治するためには利上げを継続すべき、極端な場合は経済後退も止むを得ない(株価が一時的に下がっても仕方ない)という強硬なタカ派発言が相次ぐ。

下手に景気を意識して金利引き上げに躊躇するならば、結果としてインフレ継続を招き、そっちの方が経済成長に長期的かつ大きなダメージを与えるから、今は無視しても、インフレ退治に力を入れるべきだと。

結果として、 長期金利は再び3.0%を超え、PERや配当率の関係で金利上昇下では割高になるとされるグロースが売られたほか、金利引き上げで「景気へのオーバーシュート」(行き過ぎ)懸念から、景気敏感株も消費関連株も売られている。

本来ならディフェンシブ銘柄に買いが向かうのだが「FOMC参加者が言うほど、インフレ圧力が高い」のなら、簡単に値上げが難しく、利益が上がりにくいということで、薬品などのディフェンシブも大きく買われる動きはなかった。

ロシアの脅しによる天然ガスの急騰

さらにロシアの「脅し」により天然ガスが急騰していること、サウジアラビアが増産を行わないなど原油供給を絞ってくるのではないかという警戒感で原油が上がってることもマイナス要因になった。

いわゆる安全資産への逃避が顕著で成長株や仮想通貨の下げがきついね。ドル高も金利高も仮想「通貨」であるとすれば、利子もつかない暗号資産にはマイナスになる。

天然ガスの価格急騰は、ロシアがノルドストローム1というパイプラインを8月31日からメンテナンスで3日間止めるという報道がきっかけ。 再開も怪しいという見方から、価格上昇に輪をかけた。これがインフレ懸念を高めている面は大いにある。

シカゴ連銀経済活動指数が0.27とコンセンサスを上回ったのも、利上げ継続につながるとマイナス材料とされてしまった。この経済指標が出たことで、短期債だけでなく長期、超長期債に売りが出た。

また、先週金曜日は、アメリカのミニSQ日。SQ通過でプットオプション買いなどの「保護的ポジション」を失った投資家が、新たにプット買いやコール売りを持ったと思われる。(プット買い+コール売りポジションは合成先物売りポジションとなる)これが先物売りと同じように株価を下押しした面も強いだろう。

Next: 金利上昇に弱い半導体株。指数関連の時価総額の大きな銘柄も売り

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