経済が悪化すれば、FRBは金融政策を緩めるという「FRBプット」という言葉が市場にある。しかし、8月の住宅販売数が激減しても、金利が下がらないという事象が発生した。米国市場はFRBはインフレ抑制を最優先していると見ているのだろう。(『新天地の株式投資日記』)
※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年8月24日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。
プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。
FRBへの信頼示す「FRBプット」
株式市場には「FRBプット」という表現がある。 これは「経済が悪化すれば(企業収益の悪化を通じて株安要因になりうる)FRBが金融政策を緩めて(金利下げたり、上げ速度を抑えたり、通貨を市中に多く供給したり)して株高要因になる」というもの。 あたかも(株価が下がれば価値が上がる)プットオプションを持っているように、FRBが株価保持の利益を守ってくれるという信頼感、安心感を表現した言葉と言える。
ムチャクチャ悪かった住宅販売件数
アメリカの8月23日に発表された7月の住宅販売は51.1万件。これは予想の58.1 万件を7万家Mんも下回り、6月に比べて12.6%減少と「ムッチャクチャ悪かった」。
これを受けて国債金利は一時下がったんだが…。
景気悪化の指標で金利が上昇!?
見て貰えば分かる通り、金利はニュースを受けて3.00%割れまで行った。 しかしその後戻ってしまったのである。
だから昨日も大幅に悪い住宅販売を受けて一時的には金利が下がった。(とくに住宅販売は超長期金利=住宅ローン金利で金利の支援を受けやすい)。今までならFRBが金利上昇ペースを緩めたり、将来的な金利ピークを下げるだろうっていう期待感で、金利は下がったんだ。
ところが昨日はそんな金利下げがほんの短時間しか起きなかった。
景気悪化の指標が出たにも関わらず金利は元に戻った(上昇した)。
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