黒田日銀、禁断の「財政ファイナンス」を数字で検証する
このことを数字で確認するには、政府の国債の負債額と日銀の国債の保有量の推移を見れば一発です。
法律上、日銀は政府から独立した機関だと言われています。もし、本当に独立して日銀が動くのであれば、政府の国債発行額とは非連動となるはずです。
日銀の国債買い入れ額と政府の借金の金額と相関性を発見できれば、「完全に独立している」とは言いがたい状況だと推測できます。
日銀の公表している数字から拾って検証してみましょう。
※物価、資金循環統計、短観データの一括ダウンロード – 日本銀行
<政府 国債残高の推移>
年月 | 兆円 | 増減(前年との比較) |
---|---|---|
199704 | 291 | |
199804 | 319 | +28 |
199904 | 358 | +39 |
200004 | 391 | +33 |
200104 | 417 | +26 |
200204 | 448 | +31 |
200304 | 464 | +16★ |
200404 | 504 | +40 |
200504 | 535 | +31 |
200604 | 535 | 0★ |
200704 | 538 | +3★ |
200804 | 557 | +19 |
200904 | 550 | -7★ |
201004 | 601 | +51 |
201104 | 639 | +38 |
201204 | 664 | +25 |
201304 | 720 | +56 |
201404 | 777 | +57 |
201504 | 808 | +31 |
<日銀 国債保有量の推移>
年月 | 兆円 | 増減(前年との比較) |
---|---|---|
199704 | 32 | |
199804 | 37 | +5 |
199904 | 43 | +6 |
200004 | 46 | +3 |
200104 | 67 | +21 |
200204 | 81 | +14 |
200304 | 81 | 0★ |
200404 | 90 | +9 |
200504 | 93 | +3 |
200604 | 75 | -18★ |
200704 | 65 | -10★ |
200804 | 58 | -7 |
200904 | 50 | -8★ |
201004 | 58 | +8 |
201104 | 67 | +9 |
201204 | 90 | +23 |
201304 | 143 | +53 |
201404 | 207 | +64 |
201504 | 288 | +81 |
経済学者の野口悠紀雄氏も同じような視点で調査していましたが、国債残高のプラス幅に着目した解説で、少しわかりにくい説明でした。
我が国の経済は1991年のバブル崩壊以降、落ち込み続けています。
その冷えた経済を下支えするために日銀は基本的にずっと「量的金融緩和」を継続しています(そういう背景もあり、プラス幅に着目してもわかりにくいのです)。
そこで、私は政府が国債残高をたまたま減少させた年に注目しました。そうした方が変化をうまく読み取れて、わかりやすいです。
★印をつけた2003年、2006年、2007年、2009年は、今までの傾向から比べると、増減値が著しく減っている、または前年よりも政府は国債残高を減らしています。