黒田声明があれば年末までに円高もありうる
また当面円安トレンドが続きそうですが、年初から急ピッチで円安が進んでいますので、日銀の黒田総裁の発言次第で、年末までに円急騰(円高)もありうる。
しかし、もし円急騰の場面があれば、絶好の円売りドル買いチャンスとなる。
なぜなら世界の中央銀行の利上げ、金融引き締めで金利の上昇、高いインフレ率が続きそうですから、日銀が円安をけん制するような動きをしても、一時的な円高となって、中・長期的には日米金利格差は変らず、円安トレンドが続くものと予測しています。
私は、1ドル110円の時にドル預金(よきん)をして今も保有しています。
短期的に125~130円近辺で買っていたドルは、先週末139円台で半分円転換しました。
今後もドル安円高局面は一貫してドル買いに出るつもりです。
年末に向けてのビックイベントは相場の転換点
また日本のグロース成長株、新興株、ニューIPO銘柄などで、この下落相場で下げ渋っている銘柄や逆行高しているモノには打診(だしん)買いを入れています。
9月20日、21日のFOMC(連邦公開市場委員会)で0.75%の利上げとなれば、そこが米国金利の当面のピークとなる可能性もあります。
9月27日には安倍元総理の国葬もあります。
政治や経済のビックイベントがある時にはその前後が相場の転換点になることが多いので、9月の株価や円ドル相場の動きが転換点の始まり、予兆となるかもしれません。
また、11月には米国の中間選挙もあります。
年後半は日米の株式相場がいっそう波乱の展開となりそうです。
チャンスでもあり、ピンチでもあります。
チャンスは円安が追風となって、日本経済が長いデフレのトンネルから脱出、ピンチは世界と日本がいよいよバブルに突入。
1980年代のバブルを振り返る
そこで1980年代のバブル時代がどうだったか?
週末に橘玲(たちばなあきら)氏の「80‘sエイティーズ ある80年代の物語」幻冬舎文庫を通読した。
橘玲氏と言えば「マネーロンダリング」、「タックスヘイヴン」を読んだが、かなり面白かった。
橘玲氏は証券、銀行など金融分野の経験がないにも関わらず、みごとに金融の世界を描いている。
とくに「マネーロンダリング」は読者の皆さんにオススメの一冊です。
この「80‘sエイティーズ」は橘氏の青春回想記のような内容ですが、当時の社会風潮、世相を知ることができる。
本文で橘氏が「80年代、あの頃こそ、東京がいちばん輝いてみえた時代だった」と述べている。
エズラ・ヴォ─ゲルの「ジャパンアズナンバーワン」が発売されたのは1979年。
1980年代は、まさに日本の黄金期。
その輝いていた時代の終着点は、1989年末のバブル経済のピークだった。
今まさに日本経済はデフレからインフレへ、そして再びバブル経済に向かってゆくシナリオが有力だ。
2022年の東京は輝いているか?
夕暮れの東京ではないか?
長いデフレ不況で、充満している、今の日本社会の閉塞感を打ち破ることができるのだろうか?
あるいはこのまま、小松左京の小説の題名のように、「日本沈没」に向かってゆくのだろうか?
橘氏に2020年代の日本の物語を書いてもらいたい。
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『経済の千里眼 菅下清廣の“波動から見る未来予測”』(2022年9月5日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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