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岸田首相の肝いり「スタートアップ企業支援」は成功するか?海外比較で見えた暗い現状、ベンチャーが育たない3つの理由=澤田聖陽

岸田首相は革新的なビジネスを生み出すスタートアップ企業への投資額を、5年で10倍に増やす計画を年末に策定する方針を示している。スタートアップ投資の拡大は可能なのだろうか?日本は諸外国に比べて投資額が少なく、ユニコーン企業数もわずかという状況にある。(『 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」 』澤田聖陽)

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※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年9月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

※毎月第3木曜日19:30よりまぐまぐ!Live配信予定「『投資に勝つ』ための最新ニュース解説
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。

スタートアップ投資は増えるか?

政府は8月1日にスタートアップ担当大臣のポストを新たに授け、山際大志郎経済再生大臣が同ポストを兼任することとなった。

岸田総理大臣は、革新的なビジネスを生み出すスタートアップ企業への投資額を5年で10倍に増やす計画を年末に策定する方針を示しているが、スタートアップ担当相は司令塔となる役割を果たす。

日本でスタートアップ投資の拡大は可能なのだろうか?まず日本のスタートアップ投資の現状を確認したい。

以下は、過去3年間及び2022年のスタートアップ投資の総額と社数(資金調達した社数)の推移である(INITIALによる調べ)。

2019年:総額5,936億円、社数2,702社
2020年:総額 5,483億円、社数2,514社
2021年:総額 8,228億円、社数2,282社
2022年(7ヵ月):総額4,160億円、社数1,058社

2022年に入って上場株、特にグロース株のマーケットは大きく下落しているが、今のところスタートアップ投資の世界に大きく影響が出てはいないようだ。

しかしながら、未上場株のマーケットは上場株に遅行して影響が出てくると言われており、今後影響が出てくる可能性はある。

足下で確認できる大きな変化としては、1社あたりの調達額が上昇しているという点である。

要するに人気のある未上場企業のバリュエーション(企業価値)が上昇し、投資が集中している。

スタートアップ投資の世界では、ダウンラウンド(前回の増資よりも低い株価で増資をすること)での資金調達を好まない。

よってなかなか上場株下落の状況が反映しないのではあるが、今後は未上場企業の資金繰りが詰まってきて、業績も投資予想通りに推移していないということになれば、徐々にダウンラウンドでの調達もやむなしという状況が出てくるだろう。

スタートップ投資のEXIT(資金の回収)は、M&Aなども徐々に増えてきてはいるが、日本においてはまだIPOが中心である。

知人の証券会社のIPO担当者に聞いたところ、2022年のIPO社数はそこそこの数字になる予定で、足元では上場株の下落の影響がダイレクトに出ているという状況にはなっていないそうだが、未上場時の最終ファイナンスの株価を大きく下回る株価でIPOする企業も出てきているとのことであり、そのような事例が多くなってくると、徐々にスタートアップ投資に影響を及ぼしてくるだろう。

Next: 日本だけ盛り上がらない?スタートアップ投資は増えるのか

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