配当利回りの低下には注意が必要
このとき注意が必要です。初期投資の時点の利回りを2.5%としていましたが、再評価時の利回りが同様であることが前提です。再投資時点の利回りは想定できないのです。もしかしたら利回りは大きく低下しているかもしれません。その場合はおそらく、低い利回りに見合った高い株価となっているでしょう。高い利回りが持続していれば、再投資では有利になりますが、株価は下がってしまっているかもしれません。
このように利回りと株価の関係は反比例ですので、インカムゲインとキャピタルゲインを総合的にとらえるのが、トータルリターンには必要なことです。
株価の高い安いに一喜一憂するのではなく、株価が安いときには将来の利回り的に有利だと考え、株価が高いときには株が上がってよい状態だなと考えるのが、長期投資家の好ましい態度だと個人的にわたしは思います。
株価の判断は誰にとっても簡単ではなく、簿価と単に比較して株価が高いから株式を売ってしまっては、インカムゲインが入らなくなります。高い株価と思って売っても、ますます株価が高くなるかもしれません。株価のその時々の状況に左右されずにコツコツとインカムゲインを再投資し、余裕資金を定期的に追加投資していくことが、資産形成の王道だと私は考えています。
過去15年、日経平均の配当利回りは1.5%から2.5%のレンジに入っています。1990年代は1%よりも低い利回りが続いた時期もありました。
現状の利回りはかなり高い部類に入ります。
株価が動けばこの配当利回りは動きます。
また、急に不景気になれば企業の業績が落ち、配当も下がってしまうかもしれません。配当は約束されたものではありません。
配当は企業の業績に応じて株主に支払われるものです。
業績が拡大すれば配当も拡大する余地が大きくなります。
逆に業績が悪化すれば配当は減ってしまうこともあります。
日経平均、利回りの期待度は2%
そうはいっても、日本株の代表的な指数である日経平均では、概ね2%程度の利回りが期待できることを先ほど、確認しました。さらに配当がまるで出なくなるような事態には過去はありませんでした。
この2つの観察結果(いつもインデックスに意味がある高さの利回りが存在することと無配にならないこと)は重要だと、私は考えています。この事実をまずはしっかりと認識してもらいたいと思うのです。
さらに、3つ目の重要な観察結果として、配当は時間を経るにつれて成長するという事実です。前述「日経平均配当推移」のグラフによれば、1993年日経平均の配当は100円程度でした。それから30年弱経過した2022年3月現在、625円の配当水準になっています。
無論、リーマンショックのような景気悪化局面では、配当が減少することもあります。増配や減配を繰り返しつつも、長期では配当が数倍規模に成長していることを事実として認識をしていただきたいのです。
過去データより日経平均の3つの重要な観察
1)直近15年配当利回りは、2%プラスマイナス0.5%で推移
2)日経平均の配当は無配になることはなかった
3)配当は30年で6倍になった(年率の配当成長率に換算して6%程度)
これら3つの観察結果について、私の感想を次回、述べていきます。
『億の近道』(2022年7月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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