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遅すぎたアムウェイの行政処分。マルチ商法に洗脳された会員が犯した戦慄の事件の数々=山岡俊介

消費者庁はSNSのサークル活動を装うなど、マルチ商法であることを隠し会員を募ったなどとして、日本アムウェイに対し6ヶ月の取引停止命令を出した。アムウェイに洗脳された会員がこれまで数々の事件を引き起こしたことを考えると、行政処分を下すのが遅すぎたのではないか。(『アクセスジャーナル・メルマガ版』山岡俊介)

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※本記事は有料メルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』2022年10月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:山岡俊介(やまおか しゅんすけ)
1959年生まれ、愛媛県出身。神奈川大学法学部卒。零細編集プロダクションに2年半在籍し、29歳で独立。91年『週刊大衆』の専属記者を務めながら『噂の真相』『財界展望』などを中心に記事執筆。主な著書に『誰も書かなかったアムウェイ』『アムウェイ商法を告発する』(以上、あっぷる出版社)、『銀バエ実録武富士盗聴事件』(創出版)、『福島第一原発潜入記 高濃度汚染現場と作業員の真実』(双葉社)など。

なぜアムウェイは行政処分を受けたのか?

消費者庁は10月13日、「日本アムウェイ」(東京都渋谷区)に対し、一部業務に対し6カ月の取引停止命令を出すと共に、再発防止を講じることを求める行政処分を出した。

同社は大手の連鎖販売取引(マルチ商法)業者で、停止命令が出たのは新たな会員を勧誘する行為。会員同士で同社が扱う鍋釜や洗剤、健康食品などを売買するのは可能。

マルチ商法は一般の売買と違い、リスクが高い(後述)ので、会員に勧誘する場合など、同商法であることを告げ、その旨を明記した書面を交付しなければならない。

しかし、連鎖販売取引(マルチ商法。当事者は「ネットワークビジネス」などと呼んでいる)と聞くと拒絶する者が多いため、社名や目的を告げず誘い出し、ファミレスなどで半ば監禁状態にして契約を迫るケースが後を絶たない。近年はSNSでサークル活動など、まったく別の目的と称して誘うケースも多いようだ。こうした4種類の違反を確認したことから、今回、日本アムウェイは初の行政処分を受けた。

告発を受けた筆者は完全勝訴

これに対し、同社は「いかなる違法行為も許さない姿勢で、実行性のある再発防止策など講じます」などとコメントしているが、無理というのが本紙の見解。そして、同社への行政処分が初というのは驚きだ。

なぜなら、本紙・山岡はもう30年も前になるが、アムウェイの告発本を出し、名誉棄損で提訴され争った。当時、同社は連鎖販売取引を明記した書面を一切交付してなく、訴訟は同社が連鎖販売取引をしているかどうかが最大の焦点となった。判決は連鎖販売取引であることを認め、山岡は完全勝訴。同社は当時、店頭公開していたが、ほどなく自ら取り下げた。

すでに会員は飽和状態。犯罪に手を染めるものも

こうしたなか、本紙は連鎖販売の本質を知っているし、その後も情報が入って来る。

連鎖販売取引業者は、店舗を通さず、会員(消費者)が会員に直に販売するから中間マージンが取られず、かつ本当にいい商品だから売れるとアピールするケースが多い。

だが、そんなことはなく、同社商品が売れるのは、連鎖販売(自分が勧誘した下の会員が販売)により、一定の売上があったら、その売上金の一部が特定利益(不労所得)として入るからだ。

自分より何階層下の会員の分まで、何%まで特定利益がもらえるかの条件は、連鎖販売取引業者によって異なる。ただし、早く入会し下の会員を作ることが重要で、日本アムウェイのように歴史が古く、会員が飽和状態にある業者は、その分、新興のマルチ業者に比べ、製品の品質はそれなりだし、違法行為は比較的少ないとされる。

だが、その一方で、上級販売員が頻繁にパーティーを開催して贅沢な生活を見せつけて自分も頑張ればあのような生活になれるのだと洗脳されたり、新興宗教同様、人間関係が出来ると、それを断ち切れなくなり会員を続ける者も多い。逆に飽和状態故、儲からないと、日本アムウェイで築いたネットワークを悪用、あるいは日本アムウェイに見切りをつけて、投資詐欺紛いの行為で有罪になったケースもある。

Next: 洗脳された会員達が犯した戦慄の事件

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