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イギリスの次は日本。「通貨安・債券安・株安」のトリプル安で金融市場が崩壊する日=高島康司

ヘッジファンドは1ドル180円まで軽く行くと見ている

周知のように5%まで上昇する勢いのアメリカの金利差が原因となって、いまドル買い円売りが進んでいる。円を売ってドルを買い、高いリターンが期待できるアメリカで資金を運用する投資が主流になっているからだ。

このため円安には歯止めがかからなくなっている。財務省と日銀による円買い介入によってもその効果は2日程度しか続かず、なかなか歯止めがかからない。お手上げの状況だ。筆者の友人から聞いた話では、ヘッジファンドは180円までは軽く行くと見ているようだ。

また、「The Economic Forecast Agency」という機関が公開しているAIによる円相場の予測では、次のようになっている。

<ドル円予想(日別)>
日 曜日 最低 平均 最高
10月31日(月)146.48 148.71 150.94
11月01日(火)146.71 148.94 151.17
11月02日(水)146.93 149.17 151.41
11月03日(木)148.43 150.69 152.95
11月04日(金)148.86 151.13 153.40
11月07日(月)149.90 152.18 154.46
11月08日(火)149.97 152.25 154.53
11月09日(水)150.36 152.65 154.94
11月10日(木)150.65 152.94 155.23
11月11日(金)151.16 153.46 155.76
11月14日(月)151.54 153.85 156.16
11月15日(火)151.11 153.41 155.71
11月16日(水)150.98 153.28 155.58
11月17日(木)151.27 153.57 155.87
11月18日(金)151.63 153.94 156.25
11月21日(月)150.93 153.23 155.53
11月22日(火)151.00 153.30 155.60
11月23日(水)152.46 154.78 157.10
11月24日(木)153.49 155.83 158.17
11月25日(金)151.66 153.97 156.28
11月28日(月)152.03 154.35 156.67

<ドル円予想 2022年~2024年>
月 最低 最高 終値 総変更%

(2022年)
10月:144.17 152.52 148.71 2.7%
11月:146.24 158.17 148.47 2.6%
12月:148.47 155.21 152.92 5.7%

(2023年)
1月:152.92 159.87 157.51 8.8%
2月:152.29 157.51 154.61 6.8%
3月:154.61 161.64 159.25 10.0%
4月:153.54 159.25 155.88 7.7%
5月:155.88 162.97 160.56 10.9%
6月:160.56 167.86 165.38 14.3%
7月:162.71 167.67 165.19 14.1%
8月:162.78 167.74 165.26 14.2%
9月:165.26 170.34 167.82 16.0%
10月:164.17 169.17 166.67 15.2%
11月:166.67 173.42 170.86 18.1%
12月:170.29 175.47 172.88 19.5%

(2024年)
1月:170.82 176.02 173.42 19.8%
2月:168.59 173.73 171.16 18.3%
3月:171.00 176.20 173.60 19.9%
4月:171.34 176.56 173.95 20.2%
5月:169.20 174.36 171.78 18.7%
6月:171.78 179.58 176.93 22.2%
7月:176.93 182.65 179.95 24.3%
8月:179.95 185.46 182.72 26.2%
9月:177.99 183.41 180.70 24.9%
10月:177.50 182.90 180.20 24.5%

かならずこの予測が的中するというわけではないだろうが、円安には歯止めがかからず2024年7月には180円を突破するという予測になっている。

利上げが不可能な日銀

このように、今後円安に歯止めがかからないのではないかという予想が成り立つ根拠は、日銀が円安を押さえ込むための利上げという手段が使えないからだ。

もちろん黒田日銀総裁も言うように、アメリカとの金利差があまりに大きいので、1%や2%程度の利上げを実施したとしても円安を抑制する効果はない。むしろ、景気後退など利上げによるマイナス面が大きくなる。

しかしエコノミストの間では、利上げに踏み切ると、日銀が円安の抑止に本気になっているというメッセージとして市場には受け取られ、実際に円安に歯止めがかかるだろうという意見も多いようだ。

しかし、日銀が利上げに踏み切れるかと言えばそうではない。当メルマガの第701回で紹介しているが、日銀は利上げができないのだ。債務超過になるからだ。

周知のように日銀は、いまでも続く「アベノミクス」の異次元的金融政策で毎年国債を大量に買っている。そのための資金として日銀は、日銀券の追加発行で対応している。日銀券の流通量の増大が円安の理由だ。

だが日銀のバランスシートでは、日銀券の発行は日銀の負債として計上される。これは、日銀券が金の現物と交換可能であった金本位制の時代の名残である。その当時、日銀が保管している金は日銀券を保有するものに所有権があった。日銀券はいわば債務証書のようなものだった。金本位制が廃止された現在でも、この伝統が引き継がれている。

Next: 日銀の債務超過は起こりうる

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