かつてYouTubeでも元芸人の億り人として話題を呼んだZeppyの井村さん。三井松島ホールディングス<1518>の取引で10億円の利益を上げたと見られています。この人の手口は一体どうなっているのか?というところを、投資顧問という立場から見ていきたいと思います。投資に興味のある方、井村さんの動向に興味ある方は、ぜひご覧になっていただければと思います。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
株価はこの1年で最大2倍超
まず三井松島ホールディングスの株価。
この1年の推移を見ますとピークで、頭のところから見ると2倍以上になっているのです。
直近で大きく値下がりして戻しているのですが、非常に大きく上がったタイミングもあって話題になりました。
なぜこの銘柄が話題になっているかというと、もちろん株価が上がったということもあるのですが、冒頭でお示しした井村さんが買った。
それで結果、株価が上がったというところがあるわけです。
そもそも三井松島ホールディングスを元々知っていた方は、あまり多くないのではないかと思います。
多角化を進めるも、利益の7割は石炭関連
どういった会社かというと、1913年からある古い会社で、名前の通り三井グループです。
どういった事業やってるかというと、エネルギー関連と生活関連事業があります。
元々石炭を掘ったり、販売する事業。
エネルギー事業を行っていたのです。
最近では多角化として、ストローの会社を買収したり、あるいは半導体関連。
そういったところにも進出しています。
売上高では実は、生活関連事業がかなり多くを占めるようにはなってきました。
それでも利益を見ますと、7割はやはり石炭関連になってます。
ざっくり東証に上場している企業のうち、石炭に関連する企業がどのぐらいあるか見てみました。
やはりその中でも、三井松島ホールディングスが石炭の事業の色合いが一番強い。
業績に与える影響が一番強い会社だと考えます。
石炭価格は急上昇
そんな中何が起きたのかというと、石炭価格の急上昇です。
原因の一つは、ロシアのウクライナ侵攻によって、石炭や資源全体の価格が上がった。
特にヨーロッパで天然ガスをロシアから輸入できないということになると、いよいよ発電所を動かすためにどうしたらいいんだということになると、昔ながらの石炭火力があるわけです。
そのため、石炭を欲する需要が増えて、価格が上がったというところがあります。
一方で逆に言うとここまでは、低迷していたのです。
なぜ低迷していたかというと、まさに脱炭素の流れで火力発電の中でも、特に石炭は二酸化炭素の排出量が多いと言われていますから、世の中から毛嫌いされていたのです。
それがここにきて急に需要が盛り上がって、毛嫌いされていたということは、生産する人も減っていたでしょうから、(需要と供給で)急に需要の方が大きくなってしまうわけです。
そうなると、物の価格というのは必然的に上がるということになります。
これが大きく動き出したのが、2021年や22年のロシアのウクライナ侵攻後です。
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