上方修正に次ぐ上方修正
石炭の価格の影響を大きく受ける三井松島ホールディングスは、営業利益がどんどん増えていくことになったのです。
特に期中に、決算期が始まったときにはこんなに良くなると分かっていなかったということもあって、上がってはいるのですが、21年3月期が19億の営業利益だったものが、当初は30億ぐらいだろうと予想したのです。
会社が予想した数字なのですが、石炭価格が上昇して、次のときに合計で70億まで上方修正したのです。
さらにその1回で終わらず、ほぼ四半期ごとにどんどん上方修正し82億、最終的な実績は84億になっています。
先ほどのグラフを見ていただきますと、22年3月期というと(石炭価格は)上がるか上がらないかというところで終わっているのです。
一方で次はもう23年3月期です。
そのときにこれ(石炭価格の推移)で見ますと、200から300というところまで上がっているわけです。
となると当然この23年3月期も高い業績が期待できるわけでして、2023年3月期に当初の見込みで、いきなり143億円利益が出ると見込んでいたのです。
ところがこれで終わらずに、さらに次の決算で上方修正することになりまして、これは8月頃ですかね。
次に232億という23年3月期の予想を出したのです。
営業利益にして、2021年3月期に19億だったのが、232億ですから、10倍以上に跳ね上がっているとんでもない上方修正になるわけです。
井村氏の動向と株価
これを読んだ、予想したと言えるのが井村さんです。
ではどういう動きをしたのか。
井村氏の動きと株価を見てみましょう。
さてこの井村氏の動向なんですが、買い集めているというのがわかったのが、2021年10月14日、およそ1年前です。
何でわかるかというと、大量保有報告書というのがありまして、会社発行する株式の5%以上を取得した場合、大量保有報告書を投資家が財務省に提出することが義務づけられているからです。
そこでこれ(大量に買い付けているのが)が分かったのです。
10月に井村さんが5%以上・60万株という、金額にしておよそ9憶円ぐらいというところで、大量に買っていることがわかりました。
その後すぐ11月15日は上方修正があったのです。
ただこれに関しては、株価はそんなに反応しなかったのです。
ところがそこからさらに3月の上方修正をして、5月に一気に上がってるのは決算です。
決算で何が起きるかというと、2023年の業績予想は先ほど見た140億という数字です。
それが出て株価が爆騰するわけです。
さらにそれだけで終わらずに、この8月にもまた上方修正したのです。
しかし井村さん、実は8月の上方修正で直前に半分、最終的に70万株持っていたのですが、70万株のおよそを半分を売ってるのです。
3145円ぐらいのところで売ってるのです。
その後上方修正が出て、株価は4,000円にタッチするのです。
その後株価がズルズル下がってきて、直近ではまた大きく下がってるということになります。
8月の時点で井村さんは半分売ったと先ほど言いました。
そうなると今度は5%を切ります。
5%超えてる場合は、財務省に報告義務がありますが、5%を一回切ったら、切る瞬間まではわかりますがその先は追跡できません。
今半分はどうなってるか、売ったかどうかわかりません。
しかしおそらく決算前に好決算株が大きく上がったタイミングで、やはり売り抜けているのではないかと考えるのが一般的です。
もしここでほぼ売り抜けていた場合には、およそ12億円(税前で)利益を得ていると見えるわけです。
およそ買値からすると、2倍以上の利益を得たであろうと見られています。
元々投資で10億円近い資産を築き上げてきたのですが、それを倍にしたというとんでもない動きなのです。