fbpx

三井松島HD株で利益10億円!元芸人の億り人・Zeppy井村氏はどう凄いのか?プロが投資手法を分析、イナゴが危険な理由も=栫井駿介

イナゴが危険な理由

三井松島ホールディングス<1518> 日足(SBI証券提供)

三井松島ホールディングス<1518> 日足(SBI証券提供)

じゃあ皆さんの一般的考え方としては、それだけやってくれてる人がいるなら、その人を単純に真似をすればいいじゃないと思うかもしれません。
ところがそう簡単にいかないのです。

確かにこうやって大きく上昇してるときがあるんですが、一方で目先で悪材料などもあって、急に株価が下がったというところです。
先ほど井村さんが5%の開示を出したと言いましたけれども、5%の大量保有報告書、やっぱりどうしてもタイムラグがあるのです。

実際に例えば上方修正のとき、運よく株価の上方修正が出たから良かったけれども、井村さんは多分、上方修正が出ない可能性も見越して、その前に半分売ってたのではないかと思います。
もし本当に(上方修正が)出なかったら、ここから一気に崩れるわけです。
そんなときに井村さんはもう先に売っている。

しかし売ったかどうかというのは、大量保有報告書は、実は売ってから5営業日以内に出せばいいことになっているので、どうしてもタイムラグがあるのです。
井村さんはもうここで売っているのに、株価が一気に下がっている中で、他の後からついてきた、いわゆるイナゴですよね。

イナゴは売り抜けられるかというと、もう株価が下がってますから、売るに売れない。
あるいはそのイナゴ達の売りが株価をさらに押し下げるみたいな状況になるわけです。

そうなるとかなり、井村さん本人以上にイナゴ達の負っているリスクは大きいわけです。
まして買い値に関しても、井村さんより低い人はほとんどいなくて、おそらく上がってから買った人、上がる途中で買った人が多いのではないかと思います。

そんなところで買っていると、例えば今まで持っていたとすると、既にマイナスに突入している可能性が高くなってしまう。
そういうことから、単に真似をするというのは危険である。

少なくともそういうリスクがあるということ認識せずにやるということは、ある意味で一番愚かなことなのです。
何よりも自分で考えずに取引するというのは(そういう意味でも)あってはならないことなのです。

井村さんは、これだけめちゃくちゃやってるのに、なおうまくいかないかもしれないということで、決算前にヘッジをかけるわけです。
しかしそれを盲信するというのは、さすがに愚の骨頂と言わざるを得ないわけです。

井村氏の手法まとめ

10-1.jpg

そういったイナゴはいけない。
じゃあどうしたらいいかというと、自分でやってみるという方法はありではないかと思います。

<ファンダメンタルズというより、決算ギャンブル>

井村氏の手法を真似したらいいかっていうと、手法としてはファンダメンタルズ分析。
長期的な業績推移とか、将来にわたるキャッシュフローの現在割引価値というような、いわゆるファンダメンタルズとちょっと違うと思うのです。

決算ギャンブルに近いです。
数ヶ月から1年の、次の決算がものすごい良いかどうかというのを開示をみて、それからヒントを探り出すわけです。

<徹底的に調べ上げれば、確度は上がる>

そのためには徹底的に調べ上げる。
まずとにかく全上場企業から、今後そうだというところあたりをつけて、あたりをつけたところをさらに深堀して、毎日30本の英字新聞を読むとか、そういったことまでやれば確度が上がっていく。
ただ確度は上りながらも、やはりそれも100%はないのです。

<最高の企業ではなく最高のモメンタム>

井村さんの場合は特に、最高の企業というよりは、最高のモメンタムを探しているのではないかと思います。
最高の企業というと、これからずっと好業績を続けるとか、そういった企業のことを言うと思うのですが、井村さんの場合は最高のモメンタムです。

三井松島が最高の企業かというと、おそらくそんなことないです。
あくまで石炭の上昇の恩恵を一番受ける企業という選択だったのだと思います。

なぜかというと、今石炭が一番上がりそうだからという、そういうロジックです。
つまり最高のモメンタムを探す。

瞬間、モメンタムというのは瞬間のことです。
一番この瞬間上がりそうな、エネルギーを秘めているのはどの企業かというのを探しているのです。

<モメンタム(瞬間)なので、やがて落ちる>

モメンタムとは瞬間のことですから、上がるのは一瞬です。
おそらく三井松島も、石炭価格にしても、今ロシアの問題、ウクライナ問題で上がったりはしてますけども、これはいつか落ち着きます。

そうなるとやはり脱炭素の流れは避けられませんから、また下がる。
その時には株価も下がってくる、元の木阿弥みたいなことになるのです。

だからこそ、イナゴするとどちらかというと、落ちるところに巻き込まれてしまう可能性が高くなるわけです。

<業績を調べる力、株価に対する執着心が必要>

井村氏の手法を自分でやるためには、業績を徹底的に調べて、そしてなおかつ株価に対する執着心。
なんとなく上がるじゃないかと予想するのではなくて、上がったら売り抜けるとか、業績が発表される前に売るとか、そういったことも全部事前に決めて、そこまで徹底してやって初めてうまくいく手法であると言えるのではないかと思います。

11-1.jpg

最後に今回の内容をまとめますと、この手法をやるには、少なくともこれから1年間、株式投資に人生の全てを注ぐ。
それぐらいの覚悟ができれば、井村さんの真似はできるかもしれない。

ただそうでないのなら、やはりリスクはどんどん高くなる手法であると言えるのではないかと思います。

これをあなたはできますか?

ということを、今日は問いかけて終わりたいと思います。

ちなみに一個朗報なんですが、井村さん、実は今ファンドの立ち上げの準備をしているということです。
これだけ株式投資に全てを注ぐ人が作るファンドって、めちゃくちゃ興味ありますよね?

私も興味深く見ています。
そうなるとイナゴじゃなくて、まさに井村さんの取引をそのまま享受できるわけですから、その時は可能性としてはあるなと感じるわけです。

ちなみ私がやってる長期投資というのは、これとは一線を画しています。
素晴らしい企業に投資をすることによって、目先儲かるかどうかではなくて、長期的にその企業の成長とともに、資産が増えていけばいいという投資をやっています。

ゆえにここまでヒリヒリしなくていいよ、ゆっくり伸ばしていければいいなという方にとっては、こちらもおすすめする手法でございます。
ぜひつばめ投資顧問の長期投資というのも、ご覧になっていただければと思います。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


つばめ投資顧問は、本格的に長期投資に取り組みたいあなたに役立つ情報を発信しています。まずは無料メールマガジンにご登録ください。またYouTubeでも企業分析ほか有益な情報を配信中です。ご興味をお持ちの方はぜひチャンネル登録して動画をご視聴ください。

※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取り扱いには十分留意してください。

【関連】夢に終わる韓国「半導体超強大国」戦略。日本から盗めなかったシステム半導体に“世界シェア3%”の壁=勝又壽良

【関連】楽天、モバイル事業を辞めれば株価3倍も?年間4000億円の赤字垂れ流し、株主が期待するのは早期撤退だけ=栫井駿介

【関連】バフェットに憧れた孫正義さん、ど素人投資で3.2兆円大赤字へ。天才と凡人の投資姿勢に5つの差=栫井駿介

image by:Kovalova Olena / Shutterstock.com
1 2 3 4 5

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2022年11月14日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問

[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー