なぜ買った?なぜ売った?

では井村さんが、なぜ買った(売った)か?というところを見ていきたいと思います。
<なぜ買った?>
なぜ買ったかというと、まさに資源価格の高騰。
先ほど石炭の話がありました。
全体としてまず資源価格に注目したようなのです。
2021年の話ですから、まだウクライナ侵攻なんか起きていなかったと思うのですが、コロナで実はエネルギーの需要が盛り上がってきた。
あるいはインフレということにもなっていましたから、その辺に注目したということなのです。
その中でもまだちょっと遅れている、十分に上がってない。
石油などは先に上り始めましたから、まだ上がってないものと考えたとき、「石炭だ」と注目したのです。
そして、石炭に関する勉強を徹底的にして、一日30本もの英語の記事を読み続けたとのこと。
最終的に業績の上方修正を見込んで、買いを決断したということらしいです。
<なぜ売った?>
一方でなぜ売ったのかというと、決算の前(上方修正の前)半分売って、決算の後に株価上がりました。
おそらくそこで取引が活発になったときに売り抜けたのではないかと見えるわけです。
というのも、これだけ5%以上もたくさん買ってしまうと、いざ売ろうと思ったとき、買ってくれる人がいないのです。
買ってくれる人がいないと、無理やり売ろうと思ったら自分の売りで株価も下げてしまうということになります。
だからこそ井村さんは上方修正が終わって、うわっと盛り上がったタイミングを見計らって、そこにいた人たち売りつけたという形で売り抜けたのではないかと見えるわけです。
非常によく巧妙に考えられた取引だったという感じがします。
井村氏の投資スタンス

(井村さんが)どういう投資スタンスかというと、これは本人が言ってることなのですが、市場平均を上回る個別企業の超過リターンであるαを探す。
普通に何の気なしに取引していたら、インデックスくらいの成果しか得られない。
個別株の個別企業に投資するのだったら、それを上回るαと言われるものを徹底的に探すということを言っています。
とにかくここがすごくて、上場企業約3600社の中で一番いいと思える企業に、全財産を投入することが理想だと言っています。
世の中で言われる分散投資とは全く異なる考え方です。
一方ですごくまともなことを言っていまして、株で儲けることは難しい。
マーケット(インデックス)全体よりも知識が豊富でなくてはいけない。
とにかく個別株への投資で利益を出すことに全精力を注ぐ、そういうタイプだということが井村さんの発言から見てとれるのです。
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