fbpx

地方自治体も反発「インボイス制度」をなぜ財務省は強行するのか。“非課税”を見つけては潰す増税体質=原彰宏

地方自治体は「インボイス制度」に反対?

インボイス制度が来年10月に導入されることに対して、地方自治体では、なんとか中止延期に持っていきたいところが多いそうです。

その理由は「シルバー人材センター」への影響が大きいことをあげています。

いろんな地方自治体が、「インボイス制度」導入に中止・延期の意見書を出しています。前述の「全商連」のホームページには、7月末時点で全国で423件(254自治体)の意見書を採択したとあります。
※参考:消費税インボイス制度の実施中止・延期を求める意見書採択が急増 5月末の175から、7月末では423件(254自治体)に – 全国商工新聞(2022年9月26日配信)

シルバー人材センターは、「高齢者の生きがい」をコンセプトに、地域の各家庭や民間企業、公共団体などから請負・委任・人材派遣によってシルバー人材センターが仕事を引き受け、センターに登録された「シルバー会員」がその仕事を完成する、または派遣労働者として派遣先の指揮命令のもとで働くシステムです。植木・除草、農作業、調理、買い物、子守り、電球・照明器具の取付などのほか、高齢者の身の回りのお世話をするものもあり、60歳以上の方が従事しています。平均年齢は72歳、収入は安定してはいませんが、月額3〜4万円程度だそうです。

個人事業主になるのですが、当然、消費税は「免税事業者」になります。全国1,300施設あるシルバー人材センターは、高齢者等の雇用にも結びつく営利を目的としない公的団体で、以下などに貢献しているとしています。

・高齢者の社会参加の促進
・高齢者の生きがいの充実
・高齢者の健康保持増進
・地域社会の活性化
・そのことによる医療費や介護費用の削減

「インボイス制度」導入により、免税事業者として就業を行うセンター会員(高齢者)の収入額を考えると、とても「登録業者」となって消費税を負担することはできないと思われます。

インボイスを発行することができないことから、センターは従来あった仕入税額控除ができなくなり、消費税の税負担額が新たに増加することになります。

しかし、公益事業を行うセンターの運営は収支相償が原則であり、新たな税負担の財源はありません。

「公益法人の収支相償」とは、公益目的事業に係る収入と公益目的事業に要する費用を比較 することになりますが、原則として、各事業年度において収支が均衡することを求めるものです。

法律では、以下のようになっています。

公益目的事業に係る収入が適正な費用を超えないと見込まれること(認定法第5条6号)
公益法人はその公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない(認定法第14条)

つまり、内部留保ではないですが、消費税を納める原資を用意しておくことができないということになります。

シルバー会員に登録を促しても、もともと収入が少ないのに手取り額がさらに減ることになれば、メンバー登録してくれる高齢者がいなくなります。

シルバー人材センターが代りに納税する額は、全国で2,000億円になると言われています。

以下、ネットで拾った地方からの「意見書」です。

・福島県議会
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/474476.pdf
・山口県議会
https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/site/gikai/161265.html
・奈良県議会
https://www.pref.nara.jp/61905.htm
・福岡県議会
https://www.gikai.pref.fukuoka.lg.jp/honkaigi/kaketsu-shiruba.html
・兵庫県議会
https://web.pref.hyogo.lg.jp/gikai/teireikai/r03/r3_355/ikensho/ikensho-83.html
・大津市議会
https://www.city.otsu.lg.jp/material/files/group/129/ophkphkpoekrer.pdf
・秦野市議会
https://www.city.hadano.kanagawa.jp/www/contents/1653291063175/simple/ikennsho4.pdf

いやぁ~拾い出したらきりがないですね。

Next: 個人タクシーの運転手も嘆きの声。現場はインボイス制度に何を思う?

1 2 3 4 5 6
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー