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2024年「新NISA」で若者の資産所得が倍増する?制度浸透が経済成長につながるワケ=澤田聖陽

つみたてNISAの人気の商品は?

つみたてNISAで人気があるのが、三菱UFJ国債投信が運用する「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」通称オルカンである。

オルカンは全世界の株式に分散して投資する投資信託であり、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスをベンチマーク(目標とする投資成果)としている。

全世界の株式に分散投資することで、特定国のリスクに左右されることのない運用成果が得られる商品であり、オルカンを長期間積み立てるという投資手法が若者に人気だ。

長期間積み立てていくということで、「ドルコスト平均法」によって、取得価格の変動を平準化できる(安いところをピンポイントで狙って買うのは特別の才覚が必要であるが、長期投資で期間を味方に付ければ、才覚が無くてもそこそこの投資効果が期待できるという利点がある)。

オルカンへの長期間積み立ては、SNSやYouTubeの投資系インフルエンサーから広まったとされており、若年層が比較的多いのはそのためである。

新NISAの影響は?

現状のNISAは、以下の点が問題視されていた。

1. 投資可能期間、運用期間ともに有期限であること
2. 年間投資額が小さいこと
3. つみたてNISAと一般NISAの併用ができず、制度が分かれていて分かりにくいこと

(1)については、税を司る財務省が「NISAは時限的な措置で非課税としており、基本は課税であるから、恒久化は行わない」という姿勢であったが、今回、岸田総理がトップダウンで指示命令することで、恒久化の道筋が開いた。

この点は素直に岸田総理の成果として評価したい(一方、金融所得課税の強化など「貯蓄から投資へ」というスローガンと逆の動きもあるので、その点は評価できない部分ではあるのだが)。

(2)と(3)についてであるが、新NISAではつみたて部分がつみたてNISAの年間40万円から年間120万円と3倍になり、株式などに投資できる新成長投資枠が一般NISAの年間120万円から倍増の年間240万円となる。

現行の制度ではつみたてNISAと一般NISAの併用はできず、どちらかを選ばなければいけないのだが、新制度ではつみたて部分と成長投資枠は同じ制度の中で使うことができ、併用できる。

生涯投資上限額についても、つみたてNISAが800万円、一般NISAの600万円で、現行制度でどちらかを選ばなければいけなかったものが、併用できるようになり1,800万円と大きく増加する。

併用できるようになることで、非課税で運用できる枠は大きく拡大する。

報道されている内容がそのまま制度化されるのであれば、制度としては悪くないものができ上がるのではないかと、筆者は考える。

Next: 「貯蓄からの投資へ」は成功するか?経済成長性の高まりにも期待

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