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2023年春までに起こる「相場を揺るがす」3つの出来事とは?年明け早々の米株下落・円高に要警戒=今市太郎

2023年相場予想その2:日銀の政策失敗で金利上昇・債券下落へ

さて、「私的妄想的相場予想2023~春までに本当に起こりそうな3つのテーマ」その2は、日銀の政策についての問題です。

12月20日、日銀黒田総裁の意表を突いた政策変更がありました。この日銀の大がかりな政策変更が市場との対話もナシにいきなり示現したと認識される方も多いようです。

しかし、実はYCCがいくら上限に達して無制限の買い増しをしても、制御ができなくなった。もっと率直に言えば投機筋の売り浴びせにこらえきれなくなったという重要な現実から止む無く発生しているもので、戦略変更などという生易しい状況ではないことが市場でも露見しはじめています。

日銀は、既発債のすでに5割を超えるもの(とりわけ10年債)については7割以上を保有しているにもかかわらず、YCCの上限を上げざるを得なくなっているわけですから、イールドカーブコントロールなどという大それたオペレーションが実はもうすでに制御できない状況に陥っていることが見えてくる状況です。

しかし一部の経済紙には、日銀が今度は20年債に上限を設定して無制限の買入れをするといった観測も出ており、実はぜんぜん懲りていない可能性も見えはじめています。

まあYCCの実施を成功と公言しているのは日銀だけですから、他にベンチマークとなるものはなく、ここまで土俵際に来てしまうと「窮鼠猫を噛む」がごとく、やれることは全部やって玉砕する危険性が高まりそうです。

<ここからは何の金融緩和の巻き戻しをしても金利上昇・債券下落に陥る>

このイールドカーブコントロールは2016年9月にプラスマイナス0.1%に設定され、当初は下方向に走らないことも考慮されていましたが、その後、時が経つにつれて設定上限は高くなり、2018年7月にはプラスマイナス0.20%となりました。

さらに2021年3月にはプラスマイナス0.25%となり、今回は1年9か月ぶりにその上限を高めざるを得なくなっています。

しかも上げ幅はこの6年で最大のものとなっていますから、市場の突き上げがいかに激しいものであるかは一目瞭然で、ここからさらなる長期債で同じ無制限買いオペによる金利の上限設定などを行えば、決壊時の傷みがさらに大きくなることは容易に想像のつく状況です。

実は20年債の金利制御に手を付ける前に、10年債の上限制御が完全にコントロール不能になる可能性もあり、ごく早い段階でさらに上限をいじらざるを得なくなれば国債価格はさらに下落、金利は上昇で、日銀の保有国債の時価総額は減少、含み損は大きく拡大し、下手をすればこれだけで資本金を超える債務超過状態に陥るリスクも高まることになります。

いまのところ黒田総裁がいうようにまだ利上げではなくYCCの上限金利を弄っている段階でこのざまですから、日銀が正式にFF金利の利上げをせざるを得なくなった場合、国債価格はさらに激しく下落することになるでしょうし、まして保有国債を売却するなどというQTに言及した途端に国債は暴落しかねない状況が待ち構えているといえます。

<1月の日銀会合でまたサプライズも?>

さすがに黒田退任まではもう何も政策変更はないという楽観的な見方をする向きが多いのは事実ですが、一部のアナリストはすでに1月の政策決定会合でも緩和巻き戻しにあたる政策変更を持ち出してくるのではないか?といった予測をし始めています。

果たして、ドル円がどの水準でこうしたことが起こるのか次第ですが、まさかの昨年年初来安値
である113円を簡単に下抜けるという状況に追い込まれることも想定しておくべきのようです。

これも春先までどころか豆まきの前に突然に起きるリスクがありそうで、果たして妄想的相場予想などという言葉でやり過ごせるかどうかが大きな注目点です。

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