<賃貸住宅の場合>
賃貸住宅で、現在住んでいる部屋に生涯住み続けるなら、その部屋に住み続けことができる生涯の家賃の確保が必要です。
ただ、その建物が築古の場合に考えておくこととして、その建物が、将来取り壊されることです。
たとえ壊された後に、またそこに賃貸住宅が建てられても、家賃が高くなることも考えられます。また、賃貸住宅が、建てられないこともあります。
また、歳を取ってから、現在の賃貸住宅から、ほかの賃貸住宅に引っ越すことを、計画している場合、将来のことはわかりませんが、現状は、高齢者のひとり住まいの入居を、家主は嫌う傾向です。
最悪の場合は、高齢になってから、住むところがなくなることも、考えられます。
従って、賃貸住宅に生涯住む計画の場合は、少なくとも、築年数の浅く、生涯家賃を払っていける賃貸住宅に、住むことが賢明です。
<同居を考える>
歳を取ってからか、それともすでに、Aさんは、兄弟や親族の家に同居することも、考えられます。兄弟や親族が亡くなったあと、その兄弟や親族の子どもと、同居することもあるでしょう。
このような同居をする場合、Aさんの住むところが、誰の持ち物、つまり所有しているのかによって、ここまで解説したような住宅に関連したAさんの負担額も違ってきます。
また、賃貸住宅に同居する場合、戸建ての賃貸でも、スペース的にAさんは、上記のような家族との同居も可能でしょう。
賃貸住宅で同居をする場合は、この住宅は、誰が賃貸借契約をして、家賃の負担を誰がするのか明確にして、Aさんはそれ相応の負担が必要になります。
なお、たとえば、Aさんが、Aさんの兄家族と同居して、Aさんの兄夫妻が亡くなったと、Aさんの子どもの家族と同居できるかといった、将来、問題が生じることが懸念されます。
このように、住むところを決めておくことは、言い方に語弊があるかもしれませんが、他の家族を巻き込んだり、端的お金の絡む問題でもあり、現役中からの検討が必要なのです。
また、いわゆる「施設」に入居するといった、選択肢もあります。
2. 生活する費用は生涯あるか?
生涯ひとりで生活をすると決めたら、まず、心配になるのが、「生涯の生活費のこと」と、私のところに相談にみえる方から、耳にすることがあります。
確かに、70代や80代と高齢になってから、家計が破たんしては、兄弟や身寄りも高齢になっていることも多く、善後策を考えるにしても、困難をともないます。
そこで、現役のうちに、現在の家計収支と貯蓄そして将来得ることができるであろう収入、人によっては資産運用の収益から、老後生活のしかたを決めておくことが大切になります。
<家計支出額の変化を調べる>
そのためには、現在の家計収支をまず把握して、そして、老後の生活の費用も把握することです。
家計の収入は、今の生活を続けていくことを前提にすれば、将来もらう年金も含めて、生涯、得る大まかな数値が把握できます。
しかし、家計の支出の方は、現在の生活費を基準値として、推測するしかありません。
たとえば、ひとり世帯の家計において、現役の生活と老後の生活とでは、歳とともに食費や遠方への旅行費用などは、少なくなるかもしれません。
しかし、反対に医療費や介護の費用は、増えるかもしれません。
従って、家計から出ていくお金の内容は変わっても、金額的には、変わらないと考えておくことができます。
<老後の家計支出額、減少の対策>
また、老後の生活に入ってから、今までの生活が維持できなくなり、その時の収入に応じて、生活の質を落とすことは、「こころ」に病を抱える原因になりかねないと、医師から聞いたこともあります。
老後の生活に入ってから、仕方なく生活の質を落とす可能性があるならば、現役中からの対策を打っておくことが、たとえば、その老後の家計支出額と同額の生活を、今すぐに始めることも必要です。
<貯蓄と運用>
老後の生活費と年金収入の差は、現役時代から貯めてきた貯蓄や、資産運用の収益を取り崩して、埋め合わせます。
ただ、株式投資や投資信託といった、投資した元本が、運用次第では、元本以下の金額になってしまう、いわゆる元本が保証されない金融商品で、運用することには、馴染まない人もいます。
そのような人は、銀行の預貯金などの定期預貯金といった、元本の保証されている金融商品を運用して、確実に貯蓄額を増やしていけばいいのです。
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