生涯をひとりで過ごすと決めたら、「終の棲家(ついのすみか)はどこにするのか?」「生活する費用は生涯あるか?」「自分の財産はどのように処分するのか?」の3点を考えておく必要があります。現役のうちに準備できるよう、それぞれについて詳しく解説します。(『 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ 』牧野寿和)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。
生涯「おひとり様」が考えておくべき3つのこと
ファイナンシャルプランナーの私のところには、生涯をひとりで過ごすと決めた方から、リタイアメントプランニング(老後の生活や資金計画)の相談が来ます。
同様のケースで私が必ず提案または確認することが、次の3つです。
1. 終の棲家(ついのすみか)はどこにするのか?
2. 生活する費用は生涯あるか?
3. 自分の財産はどのように処分するのか?
生涯ひとりで生活すると決めたら、快適に老後の生活をしていけるよう、現役の間から準備しておく必要があります。
今回はこの3つの内容について詳しく解説します。
現在と何がどのように変わるかを想定する
終の棲家(ついのすみか)はどのような住居で暮らしていくのか、その参考になるお話をしていきます。
なお、この記事では、生涯をひとりで過ごすと決めた方を「Aさん」として解説していきます。
Aさんに限らず、私たちは、自分だけではなく、親・兄弟といったまわりの人も毎年歳を取っていきます。これから生活をしていくうえで、何がどのように変わっていくか。想定しながら、老後のプランニングをしていくことが大切です。
また、親・親戚・縁者にもまったく世話になることなく生涯を終えると決めない限り、また決めたとしても、自分より年の若い人に何らかの関係を持っていくことは、生涯で必ず必要です。
Aさんに関わる、家庭環境や親戚関係で、考慮していくことが、必要になるかもしれません。日本の法律でも、定められているところでもあります。
1. 終の棲家(ついのすみか)はどこにするのか?
まず、生涯どこに住むのか、Aさんの現在、そしてこれからの家計の収入や支出、それに貯蓄残高の推移を考慮しながら、主に次の4つのパターンを参考に決めておくことです。
<実家に住む場合>
最初に、実家に住む場合です。
Aさんは、現在実家で、親と同居をしていて、両親が亡くなったあとも、この実家に引きつづき住んでいくとします。
Aさんに兄弟がいなければ、Aさんは、この実家を、両親が亡くなった後に相続するか、また生前には、相続時精算課税制度を利用して、実家をAさんが所有して、住んでいけばいいでしょう。
また、Aさんに兄弟がいたら、両親が亡くなったあとこの実家を含めて、両親の遺産分割をどのようにするのか、決めておくことが必要になります。
決めていく中で、実家を相続することをほかの兄弟に、納得してもらうことが大切です。
この場合に、実際の相続をするときに、兄弟との間で、金銭のやり取りが生じることもあります。
そして、実家をAさんが所有して、住んでいくことになるでしょう。
なお、所有したあとは、次に解説する「自宅を購入して所有する場合」と同様に、維持管理を考えて生活をしていくことになります。
なお、実家に住んで生活していた当時の、親の住宅関連の家計収支は、参考になることでしょう。
<自宅を購入して所有する場合>
戸建であれ、マンションであれ、自宅を購入して所有する場合は、生涯の維持管理を考えます。実家を所有したときも同様です。
住み続けるあいだの家計からの支出です。たとえば、固定資産税や都市計画税といった、納税の費用が、また、戸建であれば、将来のリフォーム費用や水回りなど急な修繕費を準備しておくこと。マンションであれば、自室のリフォーム費用や毎月の修繕積立金などです。
自宅を購入するのに、住宅ローンを組んで、借入れる金額は、現役中に完済できる額までです。
今から、住宅を購入する場合は、住宅ローンの毎月の返済額から、購入物件の上限を決めることができます。返済中に、返済が困難な状況がみえたら、すぐに返済している金融機関に、状況を説明して、善後策を検討してもらうことです。
また、中古住宅を購入について、端的に言えば、戸建の場合は、リフォームがされている住宅で、快適に、生涯過ごせる住宅か、マンションの場合は、戸建てに加えて、将来、大規模な修繕が必要な建物など、毎月の修繕積立金以外に、負担する費用が具体的にどのくらい必要か、といった確認をすることが大切です。