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2023年、スマホはこう進化する。急速10分充電、折りたたみ大画面、中国産半導体でファーウェイ復活ほかトレンド最新予測=牧野武文

10分でフル充電が可能になる

今年2023年はスマホユーザーの長年の悩みであった充電問題が最終解決するかもしれません。求められているのは急速充電です。バッテリー残量が少なくなってもわずかな時間の間に充電ができれば困ることはありません。

この分野では、vivoのサブブランド「iQOO」(アイクー)がトップランナーです。昨年末には200Wの急速充電を発表し、5分で60%、10分で90%というスピード急速充電で、充電問題をほぼ解決しました。

さらに、OPPOから派生したスマホブランド「真我」(realme)は、240Wの急速充電技術を発表しています。コンセントさえあれば、10分以内でフル充電できることになります。realmeも「充電最終章」という言葉でプロモーションを始めており、今年中に240W急速充電に対応したスマホが発売される予定です。

他のメーカーもこの急速充電に追従せざるを得なくなり、今年は充電時間が大きく短縮される1年になる可能性があります。

ゲーム画面が現実と区別がつかなくなる

今年は、ゲームの画面が一気にリアルになり、現実の写真、動画と区別がつかなくなるかもしれません。2022年初め、サムスンは新しいSoC「Exynos2200」にレイトレーシング機能を搭載したと発表しました。

レイトレーシングはリアルなCGを高い精度で生成する手法のひとつです。画素のひとつひとつについて、入ってくる光線を逆にたどり、光源にたどり着く軌跡を計算していきます。ぴかぴかに光った金属物があった場合、どの方向に反射をするのかを計算して光線の軌跡をたどっていきます。光源はひとつとは限りません。一般には太陽光が光源ですが、焚き火をしている場合、ランプをつけている場合はそれも光源となります。

このような光線追跡を厳密に行なってCGをつくると、きわめてリアルな画像になります。ゲームの画面などでは実写と区別のつかないリアルな映像をつくれるようになります。唯一の欠点は、演算に時間がかかることで、サムスンは専用回路を用意することで、リアルタイムでのレイトレーシング演算を可能にしました。

ゲームだけでなく、デジタルツインでもレイトレーシングの活用が期待されています。デジタルツインとは、現実とそっくりの環境を仮想世界の中に構築することです。例えば、ある建築物の詳細データから、仮想空間の中にその建築物を再現すれば、さまざまな実験ができるようになります。例えば、空調の効果を上げるために空気の流れを確かめる物理シミュレーションもできるようになりますし、仮想の地震を起こして建物の損壊具合を確かめることもできます。

このようなリアル世界のデータ取得は、ドローン測量が進み、建物の寸法であればほぼ自動的に取り込めるようになっています。これで街全体のデジタルツインをつくり、例えば洪水が起きたらどの程度まで浸水するのかとか、火災が発生した場合にどのように広がるのかなど、現実では行えない実験ができるようになります。

このようなデジタルツインでも、表現にレイトレーシングを用いることでリアルに表示することができ、一般向けのデモとしては伝わりやすいコンテンツをつくることが可能になります。

大画面折りたたみスマホ

スマホはその誕生以来、ほぼ現在のストレート型が主流になってきました。しかし、アプリの機能が高度になってくると、しだいに大画面が求められるようになりました。特に映像ストリーミングサービスが普及をすると、スマホはより大画面化をしていきます。そのトレードオフで、片手で操作ができない、持ち運びに不便、落とすことが増えたなどの欠点が生まれてきました。

そこで、存知の通り、折りたたみスマホが登場してくることになります。この折りたたみというアイディアを最初に形にしたのは、京セラのKSP8000で、2012年2月という早い時期に中国市場で発売されました。折りたたみというよりも、二画面をヒンジで接続したもので、一画面を画面として、もう一画面をソフトウェアキーボードとして使うと、ミニPCのように使えるというものです。もちろん、つなぎ目は入ってしまいますが、二画面を一画面として使うこともできます。

よく、日本企業は「挑戦的なものづくりをしない」と言われますが、そんなことはなくて、盛んにやっています。ただし、日本市場は販売チャンネルが精密である分、中国のようなイレギュラーな販売チャンネルが乏しいため、かなりの量が売れる見込みがないと流通させられないという問題があります。2010年代中頃までは、日本の各メーカーは、挑戦的なものづくりをして海外市場で試すということをしていました。

この折りたたみは2019年になって、折り曲げられるディスプレイが登場したことで、サムスン、ファーウェイなどが発売をし、2021年には小米、OPPO、vivoが追従することになります。

折りたたみスマホの評判は悪くはありません。特に、若い世代と女性の利用者が多く、PCを使わずに、スマホ1台でなんでも済ませたいと考える、テック志向ではない層が興味を示している点が注目されます。ただし、問題は折り目の部分のディスプレイの耐久性と価格です。そのため、数としてはなかなか大きくなりません。

調査会社CounterPointの調査では、世界市場での折りたたみスマホの出荷台数は2021年で910万台、2022年の予想で1490万台と、順調に成長をしていますが、スマホ全体に占める割合は2021年で0.7%でしかありません。

Next: ロールディスプレイスマホの実機が登場か?

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