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韓国を没落させる「敵か味方か」の二分法的思考。妥協は論外、国民の4割が反対派とは食事も結婚もせず=勝又壽良

妥協せず「多数決」で一蹴する韓国政治

韓国政治には、ほとんど妥協がなく「多数決」で一蹴している。「多数決」だけが民主主義という信念である。

妥協のない多数決は、数の横暴になる。文政権は、この乱発によって左派政権の永続性を狙っていた。右派(保守派)政権に左派政権の恥部を捜査させないとして、検察捜査の骨抜きまで行なったのだ。驚くべきことを行なった政権である。これが、韓国政治の偽らざる実情である。

韓国世論には、こうした「多数決」で押し切る政治を容認する政治風土がある。

右派は右派政権を、左派は左派政権を絶対的に支持するというものだ。中間派が、時の情勢で右派か左派かを選択する構造であり、これが政権交代の行方を決めている。両派は、ほぼ互角の支持率である。

反対派とは食事・結婚タブー

論より証拠である。『朝鮮日報』(1月20日付)が、韓国社会の政治意識を世論調査したところ、「二分法」そのものの実態が見事に浮き彫りとなった。

それによると、韓国国民の10人中4人が、政治的傾向の異なる人とは食事・酒席を共にできないと感じていることが判明した。政治的傾向が違うと本人や子どもの結婚にとって不都合、という回答も43%に達したのだ。

欧米では、食事・酒席において政治や宗教の話がタブーとされている。「市民意識」が徹底しているので、プライバシーに関わることを話題にしないのだ。

韓国では、食事・酒席で自分の政治信条を明らかにしているのであろう。意見が対立した場合、甲論乙駁で収拾が付かなくなり暴力沙汰にもなりかねない。これでは、気まずい思いをさせられるから、気心の知れない相手とは酒席を共にしないという選択になるのだろう。

今回の世論調査では、「政治的立場が違う人は国家的利益に無関心だ」という回答が、「国民の力」(与党)「共に民主党」(最大野党)支持者いずれも67%に達したことに注目しなければなるまい。互いに相手を「国の役に立たない人間」だと非難しているのである。これは明らかに共同体の危機と言えるだろう。相手を絶滅させるために、「あしき、醜い存在」として非難する。ここに、政治の二極化が生まれる。

左派系メディアが、連日のように尹大統領と夫人に対して、人身攻撃まがいの報道を続けているのも、前記の「あしき、醜い存在」という決め付けの象徴的な事例であろう。この左派系メディアは普段、大所高所論を滔々と論じているから不思議である。「政争問題」になるとボルテージが上がるのだ。

政治的傾向が違うと、本人や子どもの結婚が不都合、という回答が43%に達したのも驚きである。結婚問題まで政治信条が入ってくるのだ。先進国では、夫婦の支持政党が別という例がよくあること。むしろ、その方が自然であろう。思想は、個人の自由である。どの政党へ投票しようと、夫婦間で問題になることではない。韓国は、政治が感情の世界に支配されている結果であろう。

政策によって、政党への賛否が異なるはずである。それを無視して、右派は右派政党、左派が左派政党をそれぞれ支持しなければならないとは、硬直的と言うほかない。

韓国で、政治的対立が激化し妥協しないのは、先に指摘した通り政治が「感情論」の域まで達している結果だ。こうなると、滅多なことでは妥協できまい。まさに、「韓国の悲劇」である。妥協できないままに、互いに相手政党を非難して時間を空費するのだ。

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