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「天皇制国家」と日本会議~現代日本人を虜にする国家神道的メンタリティ=高島康司

国民にとって受け入れがたい憲法改正

戦前の明治憲法下の日本では、国家の神聖性の基盤となる記紀神話と国家神道は公教育で徹底して教えられていた。

そのため、国家に国民を越えた超越性があることは、なんら問題となることはなかった。

ところが、主権在民の戦後憲法下の日本では、記紀神話や国家神道を信じるのは特殊な宗教集団から政治集団に限られる。国民の存在を越えた国家の神聖性は、戦後70年間教育の対象から完全に排除されてきた。

そのような状況では、この認識が普通の国民にすんなりと受け入れられるとは到底考えることはできない。

ということは、憲法9条だけならいざしらず、安倍政権と「日本会議」が主張するような方向での戦後憲法の全面的な改正ということは、国家の神聖な実在性が基本的に拒絶されている現在、実質的には不可能と見たほうがよいだろう。

不可能を可能にする日本のスピリチュアリズム

だが、それを可能にする方法が存在する可能性がある。それは、現在ものすごく流行っている日本のスピリチュアリズムを利用し、国家の超越的な神聖性をまったく異なった角度から正当化する方法である。

周知のようにいまの日本では、占い、前世リーディング、予言、死者との交信、ソウルヒーリングなどスピリチュアル系が大流行している。

これらは60年代に始まったアメリカのニューエイジ系の文化に起源をもつが、日本で独自に発展した潮流となっている。これは、十数年前の「オーラの泉」というテレビ番組の大ヒットなどを通して、広く一般にも受け入れられるようになった。

いまでは、スピリチュアリズムにはまったく関心がないという日本人のほうが少数派になりつつあるといってもよいだろう。

この日本版スピリチュアリズムが、安倍政権や「日本会議」が希求する国家の神聖性の基盤を提供するように利用される可能性が大きいのである。

「自己救済」としてのスピリチュアリズム

それがどういうことなのか説明してみよう。

占いにしろ、ヒーリングにしろ、また前世カウンセリングにしろ、その目標となっているのは直接体験による自己救済である。「ハイアーセルフ」や「神」、また「宇宙人」のような高次元存在とつながり、それを直接体験しているヒーラーか、ないしはワークを通してそうした存在を体験した本人が、自分の生まれてきた目的や、いま悩んでいる問題への対処法を高次元存在からの啓示という形で得るのがスピリチュアリズムのもっとも一般的な手法だ。

これはスピリチュアリズムが日本でブームになり始めた30年前も、いまとさほど変わらない。しかし、いま顕著になっている特徴がある。過去のスピリチュアリズムでは啓示を受けるためにつながった高次元存在は、「ハイアーセルフ」や「神」、そして「宇宙人」など特定の民族や国家とは関係のない比較的に普遍的な対象が多かった。

それが近年、啓示を与える存在が、記紀神話に出てくる神道の神々であるケースが非常に多くなっているのだ。これらの日本の伝統的な神々は、これにつながった人間の口を通して個人の悩みに答えたり、またその人間の将来を予言したりする。

そして、そうした啓示には日本の未来についての内容も非常に多い。記紀神話に出てくる日本の古代の神々が実際に降臨し、国家と民族の未来に対する啓示を与えるというわけだ。

Next: 戦前の国家神道もスピリチュアリズムを基礎としていた

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