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「消費増税先送り&衆参W選挙」はアベノミクス最後の切り札となるか?=江守哲

「ミスター円の悪夢」再び?不用意な円売り介入に対しては米国も反撃必至

「ミスター円の悪夢」。それは、1997年に財務官に就任した榊原英資氏の円売り介入に対する、米国の対応を意味します。

榊原氏は在任中に8兆5000億円もの円売り介入を行いました。在任中は一時147円までドル円が上昇することもありました。すべては、榊原氏の積極的な円売り介入のおかげとみられていました。

そして、1999年7月に任期を終えるまでに、ドル円は再び調整、108円台にまで下落する場面がありました。それまでの水準から40円もの円高になったことから、自身のこれまでの成果を否定された気持ちにでもなったのでしょうか、榊原氏はそこで「122円まで円安にする」と発言してしまったのです。

事実、その後は積極的な円売り介入で122円台を回復しました。しかし、ここで怒ったのが米国です。当時のサマーズ米財務長官は「聞いていない」とし、日本の勝手な円売り介入が米国の逆鱗に触れたとされています。

その結果、99年11月には101円台にまで急落することとなりました。つまり、日本が勝手に円売り介入をすれば、最後は米国に厳しい対応を受けることになるということです。

ここ最近の麻生財務相の発言に、私はとてもひやひやしていました。結果的に、口先介入まででしたので、何とかなりましたが、これが実弾での円売り介入を実施していれば、100円では止まらないほどの円高になっていたのではないかと思います。

今回は突っ込んだ議論にならなかったのでよかったのですが、日本があまりに独善的な発言を繰り返せば、再び円高圧力にさらされる可能性があります。この点には要注意です。

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