韓国経済は「茹でガエル」になっている
「茹でガエル現象」について、少し説明をしたい。「カエルを熱湯の中に入れるとすぐに飛び跳ねて逃げ出すが、水から徐々に温度を上げていくと水温の上昇を気づかず茹でられ死んでしまう」という寓話である。
実は、米国のコンサルタント会社マッキンゼーが2013年、経営悪化した韓国経済を「茹でガエル」に喩えて注目された。あれから10年経ったが、韓国は依然として、「茹でガエル」状況から抜け出ていないのだ。
世界景気の悪化に伴って現在もなお、韓国の輸出は大きく落ち込んでいる。世界シェアの39%を握るサムスン電子の半導体部門は、14年ぶりに営業赤字となった。4月7日発表の2023年1~3月期の全社営業利益は、前年比96%減の6,000億ウォン(約600億円)に落ち込んだ。主因は、半導体部門が営業損益で4兆6,000億ウォン(約4,600億円)の赤字に落ち込んだ結果である。韓国は今こそ、産業構造のチェックが必要である。
稼ぎ頭の半導体が、大赤字になった背景は、世界的なメモリー半導体市況の落ち込みである。同時に、中国向け輸出が落ち込んでいることだ。これまで、韓国輸出を支えてきた中国経済に「異常」が発生していることを伺わせている。パンデミック下で発生した世界的な需要急増は、すでに解消されたことが計数的に確認されている。これからは、好況時の反動が起こって、需要減に向かう可能性が指摘されているのだ。
韓国と中国は、輸出依存経済だけに、深刻な反動減に見舞われるであろう。IMF(国際通貨基金)のゲオルギエバ専務理事は4月6日、世界経済が今後数年にわたって低成長期に陥るとの警告を発した。ソ連が、崩壊した1991年以来の「平和の配当」時代は終わり、米中対立と地政学リスクが世界経済を覆うという暗い見通しだ。
世界経済は今後5年間、年平均3%前後で成長するとしている。この水準は、過去20年間の3.8%という平均予測を大幅に下回り、1990年以降で最も低い中期的な成長予測となる。韓国にとっては、「異常寒波」が襲来するのだ。
輸出に赤信号が灯る
韓国は、これまで中国市場と半導体への依存を深めてきた。それだけに、中国市場が従来ほど期待できなければ今後、どう対応するのかという緊急課題に直面している。
相変わらず、対策としては輸出市場の多面化という議論をしている。韓国は人口で世界28位だが、GDPで10位(いずれも2021年)である。これは、輸出で稼いできたことを示している。つまり、対GDP比の輸出依存度(2021年)は、36.14%と工業国としては高位にあることが立証している。日本の29.96%(同)より高いのだ。
韓国はもう目一杯、輸出を伸ばしてきた経済であり、これ以上の増加を望みにくいという認識を持つことが重要だ。それゆえ、輸出に代わってどの分野で経済を伸ばすかである。その議論が、まったくないところに韓国社会の限界を指摘するほかない。それには、労組が固執する「年功序列・終身雇用制」の廃止という大技が不可欠である。
ユン大統領は、歴代政権で初めてこの労組の「既得権益」へ踏み込む姿勢をハッキリ打ち出した。これが、実現するか否かで、韓国の将来は決まるであろう。