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総合商社株は今でも買いか?三菱商事を長期投資のプロが分析。バフェットが「100年後も生き残る」と称賛するワケ=佐々木悠

業界首位の三菱商事

三菱商事は総合商社業界最大規模の企業です。

23年3月期の売上は21兆円総資産は22兆円という、非常に大きな規模でビジネスを行っています。

資源価格の高騰を受けて、23年3月期に過去最高の純利益を達成しました。

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出典:マネックス証券

三菱商事と、その他5大商社の大きな違いは、連結対象会社数の違いです。他社が500社前後に留まる中、三菱商事は1,500社を超えています。たくさんの関連会社を持つことで、幅広い業界ネットワークを得ていると言えるでしょう。

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出典:各社ホームページより作成

この幅広いネットワークを、もう少し細かく考えます。

三菱商事をはじめ、総合商社の取扱商品は金属・石炭・天然ガスなどの資源系食品・素材など様々な商材を総合して、非資源系に分れています。

以下のグラフは5大商社の利益構成比を資源系と非資源系で分けたものです。三菱商事は資源系と非資源系の利益のバランスが良いことがわかります。また、三井物産は資源系、伊藤忠商事は非資源系に強みがあることがわかります。

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出典:各社 23年3月期 決算会説明資料より作成

これら、収益規模の大きさ、連結対象会社の多さ、利益バランスの良さが三菱商事の特徴であると考えます。

では、ここからは具体的なビジネスにもう一歩踏み込んで、三菱商事のセグメント間のシナジーを考えていきます。

自社のリソースを投資先へ供給する

三菱商事のセグメントは多岐に渡ります。その数なんと10種。そのうち、天然ガス・化学ソリューション・金属資源が資源系、それ以外が非資源系と分類されます。

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出典:統合報告書

先ほど、資源系と非資源系のバランスが良いと述べましたが、セグメント単体で見ると、最も利益を稼いでいるのは金属資源グループです。

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出典:23年3月期 決算会説明資料より作成

金属資源グループはオーストラリア、チリ、ペルー、カナダなどにおいて、原料炭(都市ガスなど他の物質を生成するための炭)・銅・鉄鉱石・アルミなどの金属資源への投資や、鉱山開発など通じて投資先の事業経営を行い、金属資源の世界市場への安定供給に取り組んでいます。

 

この金属資源グループと他グループのシナジーを考えてみましょう。

例えば自動車・モビリティグループです。

自動車・モビリティグループではインドネシア、タイなどで乗用車・商用車の海外現地生産・販売、直接金融、アフターセールスなど、自動車関連の一連のバリューチェーンを構築しています。

そして、このグループには投資先企業に、三菱自動車工業が含まれています。三菱商事は、三菱自動車の持分利益タイ、インドネシアなど各市場の持分利益などで利益を得ています。

 

従って、三菱自動車の利益が拡大すれば、三菱商事の利益も拡大する、という仕組みになっているのです(あくまで一例です)。

これを実現するために、金属資源グループで調達した金属や銅を、三菱自動車に供給することで三菱自動車の事業へ貢献しています。

また別のセグメントである、総合素材グループにて取り扱っている、EV車のため機能素材を三菱自動車へ供給するなどしています。

 

つまり、これが投資先企業に自社のリソースを投入し、持分利益を拡大させる戦略であり、総合商社が業績を拡大させる仕組みなのです。

この例は、数ある事業間シナジーのうちの1つであり、私たちが知らないところで三菱商事のネットワークを活かしたビジネスが展開されているのです。

Next: なぜバフェットは「総合商社は100年後も生き残る」と考えた?

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