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人手不足なのに「年収の壁」を5つも作る扶養制度の闇。元凶は税収を手放さない財務省=神樹兵輔

「年収の壁」は5つもある!非常にややこしい問題だらけの制度

ところで、「年収の壁」は、130万円に限ったことではなく、年収の段階によっていくつもあります。これが細かくて、非常にややこしいのです。

ざっと、見ておきましょう。

●100万円の壁………「住民税」の負担が発生(100万円未満は非課税)
●103万円の壁………「住民税」「所得税」の負担
●106万円の壁………「住民税」「所得税」の負担に加え、一部「社会保険料」の負担が発生
●130万円の壁………「住民税」「所得税」「社会保険料」の負担
●150万円の壁………「住民税」「所得税」「社会保険料」の負担に加え「配偶者特別控除の減少」が発生

とまあ、ややこしいことに、「年収の壁」は上記のように概ね5つに分類されるのです。

以前までは、社会保険料の負担が発生するのは、130万円からでしたが、2022年10月から社会保険の適用範囲が拡大し、1カ所の事業所での年収が106万円以上のパートやアルバイトの労働者にも条件付きで適用されることとなっています。

ここで加入義務が生じるのは、従業員数が常時101人以上の事業所で、週20時間以上の労働時間で月額賃金8万8,000円以上で、2カ月を超えて就業する見込みの場合です。

社会保険料の負担額は収入によって異なりますが、年収106万円の場合は年間で約15万円ですから、社会保険に加入していない労働者よりも手取り額が減少するのです。

いずれにしても、ややこしい条件があって、面倒くさい話なのです。

イギリス方式にすれば被扶養者にも優しいが、財務省は許さない――という話

では、日本の「年収の壁」をスムーズに改善するには、どうすればよいのでしょうか。

これには、諸外国の例を見てみるとよいでしょう。

いずれの国でも、一定の収入以上で、税負担や社会保険料が生じる仕組みは日本と同様です。

しかし、イギリスの場合は、「年収の壁」を超えた場合、超えた部分の収入にのみ税率や社会保険料率が適用されるため、負担が非常に緩やかなものになっています。

これなら、労働意欲を阻害することなく、被扶養の範囲内でも、目いっぱい働いて、少しでも家計を潤わせたい――という多くの被扶養者の要望にも応えられます。

しかし、政府・財務省は隙あらば、増税を狙っていますから、今よりも税負担や社会保険料負担が少なくなるような、こんな制度の導入は望めないでしょう。

税収を減らす――といった減税の発想は、財務省には端からないからです。

Next: 「消費税廃止」ですべてがうまくいく!財務省を解体すべし

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