著名投資家たちも中国から資金を引き上げた
中国政府も自分たちの経済が悪化していることくらいは誰よりもわかっているわけで、とにかく経済浮上の手を打つために西側諸国では考えられないようなことをしてくるかもしれない。
しかし、国際社会から信用を失った中国は、もうかつてのように手放しで歓迎されるような国ではなくなっている。これまでのようにグローバル経済の中で経済発展ができるとは思えない。
中国の経済発展は1990年代からはじまったが、2010年代初頭まで欧米は「中国が経済発展したら民主主義国家になる」と思い込んでいたし、「欧米のパートナー国家になれる」とも信じていた。
しかし、中国は民主主義国家にならなかったし、欧米のパートナーになるほど誠実でもなかった。欧米の目が覚めたのが2010年のなかばあたりからであり、かつては親中で中国べったりだったオバマ大統領も中国に見切りをつけた。
それもそうだ。自国の機密情報や最先端技術や知的財産やノウハウをことごとく盗み取られて「信頼できる国」など思えるはずもない。「オバマは中国に甘すぎる」という批判が飛び交う中で、親中だったオバマ大統領ですらも中国を持ち上げることができなくなってしまっていたのだ。
トランプ政権になってから、もはやアメリカは中国排除を隠さなくなったが、バイデン政権も中国の排除に関しては着々と進めている。
アメリカの経済界は今も中国の市場に未練があって、アメリカ政府の中国排除を批判していたのだが、コロナ禍で「中国は思ったほど民主的ではない」と思い知って、投資を引き上げるようになっている。
Appleも中国から足抜けしようと努力しているし、投資家で言えばウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイも中国BYD株をほぼ売却した。キャシー・ウッドもテンセントやピンドウドウなどの中国企業の株式を全部売り払っている。
高い成長率を誇る国に投資していたらリターンも大きい
中国はもう「落ち目」だという事実が認識され、グローバルな資金が抜けていく可能性が非常に高まっている。とすれば、中国から引き抜かれた資金は長期的に「どこに流れていくのか」が次の課題となる。
もちろん、多くのマネーはアメリカに回帰していくだろう。なぜなら、アメリカには世界最強の株式市場があり、現代の資本主義の総本山となっているからだ。アメリカに敵う資本主義国家は「ない」のだ。
しかし、グローバル経済の中では「次の成長国」を狙ってそこに資金が流れ込む動きも同時に起こる。なぜなら、たとえリスクがあったとしても高い成長率を誇る国に投資していたら、リターンも大きいからである。
では、「次の成長国」とはどこなのか。
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